香取慎吾『アノニマス』静の演技がイイ!『3年A組』以来の“現代の闇”

日刊大衆

香取慎吾
香取慎吾

「静」の香取慎吾(44)が良い! 彼が5年ぶりの民放ドラマ出演となる『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」(テレビ東京系)が面白い。

 社会的関心の高いSNSトラブルを捜査する警視庁生活安全部指殺人対策室、通称「指対(ゆびたい)」の活躍を描く。香取が演じるのは、元捜査一課の刑事で、「捜査一課の狼」と呼ばれていた、ワケあり捜査官の万丞渉だ。

 万丞は不愛想で空気を読まないだけで、クレイジーではない。不謹慎な言動や常識外れの捜査で周囲を攪乱させることもない。逆に新人の碓氷咲良(関水渚/22)の危なっかしい捜査をフォローすることもある。

 この「クセは強いが普通の感覚をしっかり持っている」というキャラは、SNSを捜査するという設定においてすごく重要だと思うのだが、これをゴツゴツとした重く異質な存在感を持つ香取が、ひたすら静かに演じているのだ。だからこそ物語に説得力がある良作になっている。amazonプライムビデオ配信のドラマ『誰かが、見ている』の舎人役をはじめとする、トリッキーな個性の香取が苦手という人も、食わず嫌いをせずぜひ見てほしい。

■関水渚との絶妙なバランス

 香取の立ち位置の成功にひと役買っているのが、ヒロイン碓氷咲良役の関水渚。彼女も、香取とはまた違った重い存在感のあるタイプである。『キワドい2人-K2-池袋署刑事課 神崎・黒木』(TBS系)でもかなりウザったい性格のヒロインを演じていたが、イラッと来ない花というか、味わいがある。今後、碓氷という「フットワークが軽い正義感」という王道キャラクターに乗ることでどう魅力が花開いていくか、とても楽しみである。

 静の香取、動の関水が追う不思議なバランス感が『アノニマス』の魅力だが、なによりの見どころは「身近にある恐怖感」だ。現実に起こった過去のネット事件を彷彿とさせるエピソードに、決して他人事ではない、と背中が寒くなる。

 万丞の決めゼリフ「考えろ」が、よりその思いを強くさせる。情報に踊らされては終わり。2019年の『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)然り、時代の節目に今近づいている危機とはこんな大変なものだ、と提示してくるドラマがある。コロナ禍でさらに加速していくネット社会への「警告」が詰まった、今クール、最も考えさせられる一本だ。(田中稲)

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