ビートたけしの名言集「ビートたけしが書き下ろした戯曲を発掘」 (1/2ページ)
昨年暮れ、以前購入した、つかこうへい作の戯曲「熱海殺人事件」を読み直していると、ふと〈そういえば、殿も10年くらい前、戯曲を書いてたな? あれ、今どこにあんだろ?〉と思い出し、すかさず探索すると、かつて、殿の運転手をしていた弟子がその台本を持っていることが判明したのです。で、なぜに殿が映画の台本でなく、芝居の台本、戯曲を書いたのか? 説明します。
当時、殿の運転手をしていた彼がお笑いコンビを組んでいて、移動の車中などでよく、殿から「お前ら、どんなネタやってんだ?」と、聞かれることがあり、その流れで「だけど、今はお笑いの数が多いから、普通にネタやっててもしょうがねーだろ。よし、じゃあ俺がちょっと芝居の台本書いてやっから、お前ら、ライブでやってみろ!」と、まさかの殿からの提案により、ビートたけし唯一の戯曲が誕生することになったそうです。
で、さっそく元運転手の彼から、その台本を借り受けて熟読すると、これが“たけし毒ガステイスト”全開な作品で、読後〈これを埋もらせておくのはもったいない!〉といった境地に至り、早速に“忘れていた戯曲”について殿に確認すると、
「そうだ! あいつらに芝居の台本を書いてやったんだよ。そうだよ。それであいつらにやらせてみたら(ライブで披露)、また、ヘタなんだ! それ見て、一気に芝居が嫌になったんだよ」
と独白されたのです。そんな経緯で書かれた戯曲ですが、プリントアウトした紙でのデータしか残っておらず、その事実も伝えると殿は、
「それ、今読んでも面白い? あっそう。じゃーよ、悪いけど、それパソコンに打ち直してくんね~か? ちょっと見て直すわ」
と、がぜん興味を示し出したのです。
さらに「じゃー、あれだな。直したら、本にして出すか!」と、一人どんどん話を進めていくと、せっかちな殿は、もう我慢できないといった感じで「お前、フラッシュメモリって持ってる(PCのデータを記憶するやつね)? それ、フラッシュメモリに入れて、今度、持ってきてくれよ。あっ、全然急がなくていいぞ。いつでもいいからよ」と優しく指示を出したのです。