警視庁が「外事警察4課体制」で中国“産業スパイ”を炙り出す【全文公開】 (2/4ページ)
外事2課は中国の国家機関員だけでなく民間人にも焦点を当て、スパイ活動の捜査を強化する方針だという。
もっとも、別の狙いもあるようだ。外事関係者が付言する。
「北朝鮮と中国を分けたのは、各課に専門性を持たせることで諸外国の情報機関との連携を円滑にする狙いもある。情報の世界は、ギブ・アンド・テイクというのが原則。こちらからの有益な情報があってこそ、貴重な情報が手に入れられるものだ。今後は、そのネットワークをさらに生かせるようにしていく。折しも昨年末、北朝鮮のスパイ活動をつぶさに追ってきた韓国の情報機関・国家情報院の権限が縮小されることになった。今後、韓国からの情報は減るとみられるため、欧米の情報機関との連携はますます重要になる」
それにしても、なぜ北朝鮮班でなく中国班を独立させなかったのか。スパイ活動をにわかに活発化させている中国こそ、単独の課を作って対応させるほうが理にかなっていまいか。
「中国の勢力範囲は広くアジアに及んでいる。例えば、シンガポールは欧米の情報機関も注目しているが、金融における中国系の暗躍が目立つ。そういったことを踏まえてのことだ」
外事関係者は、そう解説をするが、実は政治的な配慮もあったようだ。永田町関係者は、
「中国課を作ったら『狙い撃ちだ』と中国が猛反発するだろう。現政権は中国に弱い。だからだ」
だが、先の政府関係者の見解は異なり、明確にこう述べているのである。
「政府は現在、産業スパイを封じるべく経済の安全保障に力を入れている。特に中国は要警戒だ。最先端医療技術、バイオ、創薬、人工知能‥‥これらが失われれば日本の将来が危うい。そこにくさびを打ち込むための第一歩だ」
どうやら中国の産業スパイ対策、これが今回の外事警察拡充の最大の狙いのようだ。それほど、産業スパイは日本を跋扈している。そして誰もが、その標的になりえる状況なのである。
産業スパイといえば、昨年1月にソフトバンク社員が逮捕された事件が、いまなお記憶に残る。
発端は、その数年前に遡る。ソフトバンク本社に近い東京・新橋の路上で、ロシア人男性に声をかけられ、逮捕された社員が一杯誘われたことであった。