松本まりか「遅咲き」美女が雌伏のときに手に入れた「嫉妬」ではなく「退屈」

日刊大衆

※画像は『松本まりか写真集「MM」』より
※画像は『松本まりか写真集「MM」』より

テレビの中の女たちvol.46松本まりか

 人は彼女を「遅咲き」と呼ぶ。

 松本まりか、1984年生まれの現在36歳。俳優としてのデビューは2000年、当時の彼女は15歳だった。その後、ドラマや映画などへの出演の他、アニメやゲームの声優としても活動を重ねてきた。しかし、世間的には日の目を見ない日々が18年ほど続いた。

 よく知られるように、彼女の転機は2018年に放送された『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)だった。30代半ばに差しかかった時期だ。そこでの演技が「あざとかわいい」とSNSなどで話題となり、注目を集めるようになった。

 今では、その存在感からバラエティ番組にも出演を重ねるようになっている。『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)では、番組コンセプトであるポジティブなあざとさを体現する象徴的な存在として扱われている。

 そんな松本が14日の『情熱大陸』(TBS系)に出演していた。冒頭、車の中で彼女はスタッフからの問いかけに答えながら言う。

「いまこの時を逃しちゃうと、また私は埋もれてしまうっていう危機感の中で、この2~3年間過ごしていて。そうなるのが私は怖かったし、そうなりたくないと思ったし」

 別の番組で語られたところによると、彼女は10代でデビューした直後からブレイク予備軍と周囲から評されていたらしい。けれど、実際には上述のように苦節の日々が続いた。

 他方で、同時期にデビューした友人たちは次々と活躍の幅を広げていく。友人たちに対して抱いてしまう嫉妬。そこで彼女は心に決めたという。

「ある時、嫉妬心っていうものを手放そうと思ったんです。じゃないと、きっと顔が醜くなると。嫉妬心にさいなまれて、自分が自分でいられなくなっちゃうから、自分が生きるために、私は彼女たちを羨むことをやめたんです。(中略)いい顔になりたいと思ったんですよ。醜い顔になりたくないと。醜い人になりたくないと」(『お願い!ランキング』テレビ朝日系、2019年12月13日)

 あるいは、こうも言う。

「私は長い時間をかけて、人生の退屈っていうのを味わったんですよね。嫉妬するかわりに」(同前)

 一方、特にバラエティ番組で目にする彼女は、沈黙を多く含む語りのトーンが印象的だ。

あいつ今何してる?』(テレビ朝日系)に出演した際は、中学校の恩師からの手紙に号泣。「ちょっと言葉にできない」と言って約2分間沈黙していたという(本放送ではカット。後日『あざとくて何が悪いの?』で一連の映像が放送された)。

 収録に参加していたネプチューン堀内健は、その時のことを「絶妙な美しい涙の沈黙。みんな引き込まれちゃって」と振り返る。

「それだけ沈黙があっても、もつんです、画が。長いこと芸能生活やってますけども、いないですね、こんな間がもつ人」(『あざとくて何が悪いの?』2020年10月17日)。

 会話の間にふいに差し込まれる沈黙。隙間を残さない丁々発止のやり取りがなされるテレビの中でそれが「もつ」のは、彼女がデビューから売れるまでに時間を要してきたからでもあるだろう。彼女が嫉妬を手放すかわりに手にした長く深い退屈。それが沈黙に迫力と説得力を生み、その沈黙を埋める想像を見る者に喚起しているように思う。

 人は彼女を「遅咲き」と呼ぶ。しかし、その遅れた時間こそが彼女の魅力に結実しているはずだ。

(文・飲用てれび)

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