堀未央奈&松井玲奈、深川麻衣、山下美月「個人PV作品」に登場したナイロン100℃俳優【乃木坂46「個人PVという実験場」第16回3/5】

日刊大衆

※堀未央奈/画像はEXwebの記事(https://exweb.jp/articles/-/60805)より抜粋
※堀未央奈/画像はEXwebの記事(https://exweb.jp/articles/-/60805)より抜粋

乃木坂46「個人PVという実験場」

第16回 ナイロン100℃とのリンク 3/5

■山岸聖太作品におけるナイロン100℃俳優たち

 山岸聖太が独特の空気感をもって、乃木坂46の映像作品に大きな役割を果たしてきたことは、すでに本連載昨年4月7日更新回(https://taishu.jp/articles/-/73964)から5週にわたって詳述してきた。個人PVやペアPVもたびたび担当し、ドラマ型作品を数多く手がける山岸だが、それらの作品内で山岸的世界観ともいうべき基調を支えるのは、乃木坂46メンバーと共演する俳優たちだ。

 そして、あらためて山岸の担当した作品を振り返ると、山岸が繰り返し起用するキャストの中にもナイロン100℃所属の俳優がいる。11枚目シングル『命は美しい』収録の堀未央奈松井玲奈ペアPV「いきすぎた友達」で重要な役どころを演じる吉増裕士である。

https://www.youtube.com/watch?v=4YjAsmBwGTs
(※堀未央奈・松井玲奈ペアPV「いきすぎた友達」予告編)

 とあるオーディション会場の待機室を舞台にしたこのドラマ本編では、最初に登場する吉増のぞんざいな台詞が、物語を駆動させる。携帯電話を片手に、待機室に到着するなり「またどうせくだらないドラマだよ! 変なアイドルとか出るような」と、電話口の相手に吐き捨てる吉増。明らかに舐めた態度を向けられた堀と松井は、やがて奇矯な方法で彼をやり込めながら、いつしか心を通わせていく。

 堀と松井はともにアイドルグループで中心メンバーとして活動しながら、演技や文芸などそれぞれの道を開拓しつつ、またキャリアを重ねるにつれてエンパワーを強く感じさせる発信を続ける人物である。その二人がドラマ作品のW主演として邂逅し、「アイドル」への蔑視をあらわにする相手を静かに打ちのめしていくさまは、後年になって顧みることでまた新たな意義深さを感じることができる。

 一方、不用意な振る舞いの報いを受け、ラストカットで言葉にならない叫びを発する男を情けなく演じた吉増もまた、この作品の中核を担うパーツとして重要な役割を果たした。

 吉増は同じく2015年リリースの13枚目シングル『今、話したい誰かがいる』に収録された深川麻衣の個人PVに出演するが、ここでも彼が引き受けるのは翻弄される男の役であった。同シングルで山岸は西野七瀬の個人PVも監督しているが、西野の作品と世界観をリンクさせた深川主演のこのショートドラマで、吉増は学校に面談に来た保護者を演じている(おそらく西野七瀬の父親役として設定されている)。

https://www.youtube.com/watch?v=IU-i1Gr0jmw
(※深川麻衣個人PV「また、茶でも」予告編)

 もっとも、この作品で吉増にあてられた役には、先の堀と松井のペアPVとは違い、これといった落ち度があるわけではない。どちらかといえば、ぎこちないながらも社交辞令で場を取り持とうとする、真面目な役柄である。それだけに、先生役を演じる深川の人を喰ったような言動に呑まれていくさまはどうにも理不尽だが、この不可思議な空気感こそが山岸的世界の醍醐味でもある。

■特定の監督作品から脱皮

 吉増は乃木坂46の個人PVに参加する以前の段階で、すでに山岸聖太作品とは関わりを持っている。2013年に、岸井ゆきのとともに出演したKANA-BOON「ないものねだり」MVからは、彼がこの時点ですでに山岸的世界の住人であったことがうかがい知れる。乃木坂46作品への出演は、そうした山岸との関わりの延長線上にあるものだ。

https://www.youtube.com/watch?v=UgS7vgquBvo
(※KANA-BOON「ないものねだり」MV)

 しかしまた、山岸作品から離れた場でも、吉増は個人PVに再度登板する機会を得ている。それが2017年のシングル『シンクロニシティ』収録の、山下美月個人PV「さよならポルターガイスト」(監督:荒船泰廣)である。

https://www.youtube.com/watch?v=EPx8Dl5gLtU
(※山下美月個人PV「さよならポルターガイスト」予告編)

 昨年12月3日更新分(https://taishu.jp/articles/-/90737)でふれたように、本作で山下が演じるのは過去の喪失体験に由来する怪奇現象とどこまでも共存することを選ぶ高校生である。

 吉増はその怪異から山下を救おうとする教師役を務めている。このドラマでも、やはり吉増の演じる人物には受難が待ち受けているが、それは山岸作品で吉増が経験するそれとはテイストが大きく異なる、切実で致命的なものだ。だからこそ、個人PVというフィールドの中で吉増が受け持つ役の幅にも広がりが生まれ、乃木坂46の映像コンテンツに特有の存在感で色を添えるプレイヤーになった。

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