大晦日・お正月・節分・お盆をつらぬく日本文化の「根っこ」とは?【後編】 (3/3ページ)

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「鏡開き」で、霊が宿った鏡餅を雑煮やお汁粉に入れて食べるのも、聖なる力を体内に取り込む意味があります。

正月に限らずとも、仏壇にお供えしたものを食べるとご利益があるとよく言いますが、もしかすると鏡餅やおせち料理が、こうした考えの原点なのかも知れません。

実は、お年玉にも、もともとはそういう意味がありました。かつては、ご先祖様の霊に捧げた鏡餅を、子供の無事な成長を願って分け与えていたのが起源で、現在のようにお年玉が現金になったのは江戸時代からだと言われています。今でも、お正月になると丸餅を子供たちに配る地方もあるそうです。

また、これはお正月とは直接関係がありませんが、地域によっては、四十九日などの法事で餅を食べる習慣があります。これは「食い別れ」などと呼ばれたりしているようですが、むしろ餅に宿った霊力をこの世の人間が頂くという、鏡餅の風習と重なり合っているようにも見えます。

これは余談ですが、キリスト教で、聖人イエス・キリストの肉と血に見立てたパンと葡萄酒を体内に取り込む「聖体拝受」という儀式があります。このパンは、聖別という儀式によって食べられるようになるのですが、聖別する前の状態のものを日本語では「聖餅(せいへい)」と訳します。いつ、誰が最初にこの訳語をあてたのかは分かりませんが、こうした聖なる食べ物に「餅」の一字が入っているのは、日本人の心性をよく表していますね。

以上のことから、お正月の期間は、お盆と同じように、ご先祖様の霊を迎える聖なる期間でもあることがはっきり分かると思います。

大晦日、節分、正月、お盆……。現代に生きる私たちは、この四つはそれぞれ独立したバラバラの祝祭日のように思いがちですが、実は深い根っこの部分でつながっています。そしてその根っこは、遠い昔から日本人が保ち続けた精神そのものでもあるのです。

参考資料
山折哲雄『仏教民俗学』(講談社学術文庫・1993年)
火田博文『本当は怖い日本のしきたり』(彩図社・2019年)

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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