これ読める?無悪善、子子子子子子…優秀だけど一言多い平安貴族・小野篁の解答やいかに (3/3ページ)

Japaaan

私はこの世のどんな難文であっても読めてしまうものですから……」

たとえ無実であるにしても、実に小憎らしい篁の態度に腹を立てた嵯峨天皇は、とっておきの漢字クイズを出すのでした。

「よーし!だったらこれを解いてみよ!間違っておったら即刻処断するゆえ、心して読め!」

かくして出題されたのが「子子子子子子子子子子子子」……流石の学者たちも、今度は嵯峨天皇への忖度抜きで読めませんでした。

フフフ……小癪な若造めが、せいぜい間違えて泣きながら命乞いをするがよいわ(本当に殺す気はないが、一度は凹ませてやらんと気がすまぬ)……内心ほくそ笑んでいた嵯峨天皇の期待を裏切るように、篁はあっさり答えてしまいます。

「ハッ……『ねこのここねこ、ししのここじし(猫の子、仔猫。獅子の子、仔獅子)』でしょ?簡単すぎます」

猫の子は仔猫(イメージ)。

子という漢字は「ね」「こ」「し」とそれぞれ読めるため、適宜組み合わせて文章を推測したのです。

素晴らしい頓智(とんち)にグウの音も出なかった嵯峨天皇でしたが、その後も才に驕った篁は、やがて過激な朝廷批判によって隠岐国(現:島根県隠岐郡)へ流罪とされてしまったのでした。

(その後、華麗なカムバックを果たすのですが、そのエピソードは又の機会に)

果たして「無悪善」が篁の手によるものなのかは謎のままですが、「口は禍の元」を地でいった人生だったのは間違いなかったようですね。

※参考文献:
小林保治ら訳『新編日本古典文学全集 (50) 宇治拾遺物語』小学館、1996年6月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「これ読める?無悪善、子子子子子子…優秀だけど一言多い平安貴族・小野篁の解答やいかに」のページです。デイリーニュースオンラインは、嵯峨天皇小野篁平安貴族平安時代カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る