科学者の情熱が作り上げた世界一丸い究極の球体 (2/3ページ)
そのためのアイデアが、28Siの完璧な単結晶を使うというものだ。結晶球の直径をレーザーで計測し、そこに含まれる原子の数を算出。ここから「プランク定数」を求め、キログラムの基準にするのだ。
球が作られると、コンピューター制御のレーザースキャンでそのわずかなバラツキを割り出し、レンズメーカーが数百時間かけて修正。
そうして出来上がった直径93.6ミリの球は、真円度の差分がわずか50ナノメートルしかない。地球上でもっとも丸い物体の誕生だ。
・結局、究極の球体は不採用
だがせっかく作り出された究極の球体は、結局キログラムの基準として採用されなかった。米国標準技術研究所が別の方法で計測したプランク定数と一致しなかったからだ。
2019年、キログラムの定義は130年ぶりに改訂。2015年から17年にかけて報告された8つの実験値から得られたプランク定数に基づき、光子が持つエネルギーと同等の質量が1キログラムと定義された。