胴体を切り落とし、頭部だけの状態から完全に体を再生するウミウシが発見される

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胴体を切り落とし、頭部だけの状態から完全に体を再生するウミウシが発見される
胴体を切り落とし、頭部だけの状態から完全に体を再生するウミウシが発見される

credit:ウミウシラボ2020

 首から下を全て切り落とすと、頭部だけでもぞもぞと這い回り、やがて胴体を完全に再生させる。そんな驚くべき再生能力をもつウミウシ2種が奈良女子大の研究グループによって発見されたようだ。

 危機が迫ると足や尾などを自切し、後に再生させることができる能力はトカゲや無脊椎動物などで確認されている。これまでもウミウシの自切は確認されていたが、頭部だけの状態で心臓を含めた体全部の再生が確認されたのは今回が初めてとのことだ。

・3週間で頭部だけの状態から胴体を再生

 驚異の再生能力が確認されたのは、鹿児島市の海岸で採集された「コノハミドリガイ」と広島市向島で採集された「クロミドリガイ」の2種だ。

 2018年、飼育していたコノハミドリガイの頭と体が分離している姿が発見された。

 驚いたことに胴体を失った頭部は元気に動いており、数時間後にエサまで食べ始めたという。さらに1週間後、心臓の再生が始まり、3週間も経過した頃にはまったく新しい体と内臓が再生されてしまった。

 一方残された胴体は、それから数時間か、ときには数か月も刺激に反応することができる。ただ、頭部の再生まではできないようで、やがては死ぬ運命にある。


コノハミドリガイ自切直後 Sea slug Elysia cf. marginata, just after autotomy

・エサから得た葉緑体を利用して体を再生するエネルギーを得る

 このウミウシは光合成を行う藻の葉緑体を体に取り込むことまでできる。

 こうした「盗葉緑体現象」は嚢舌目や繊毛虫などで見られる生存戦略で、体を捨てたウミウシの頭部は葉緑体を利用して、新しい体が再生するまでのエネルギーを得ているようだ。

 なお、この驚異的な再生能力は、歳をとると失われてしまうらしい。老化した個体の頭部を切り離すと、1週間は生きていられるが、結局体が再生することなく死んでしまうとのことだ。

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credit:ウミウシラボ2020

・胴体を切り離すのは何の為?

 自ら体の一部を切り離す「自切」は、トカゲなどさまざまな動物で確認されているが、さすがに胴体を丸ごと切り離してしまう動物は珍しい。

 プラナリアも体の再生能力が高いことで知られているが、ウミウシのような複雑な身体構造を持つ生物で胴体の完全再生が確認されたのは初めてとみられている。

 その目的は一般に捕食動物から逃れることだが、今回のウミウシの場合、生殖を妨げる寄生虫を排除するためではないかと推測されている。

 胴体再生の詳しいメカニズムはまだ分かっていないが、切断部位にある幹細胞に似た細胞を利用して、新しく体と内臓を作り出しているのではとのことだ。

 この研究は『Current Biology』(3月8日付)に掲載された。

References:sciencedirect / sciencenews / newatlas/ written by hiroching / edited by parumo
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