南野陽子「米4杯おかわり」往年のアイドルがパワー不足を感じたら足を運ぶジャンボ餃子の名店

日刊大衆

南野陽子
南野陽子

アイドル食堂・第62回 天龍

■ナンノはいまでもお米を4杯食らう

 アイドルだってメシを食う。この連載もすでに60回を超えたが、俳句を捻るように、今日はこの人について書いてみよう、とひらめき重視のスタンスを取っているため、ガチのご贔屓アイドルはなかなか浮上してこない。

 ぼくにとって、それは昭和50~60年代に一世を風靡した少女たちになる。不思議なことにその多くが引退していない。マイナーだけどなんとなく好きだった、という女子もいないではないが、お気に入りのほとんどは瞬く間にスターダムを駆け上がっていった。

 何を隠そうぼくは、中森明菜や本田美奈子のデビューイベントにも駆けつけている。ラジオや深夜のテレビ番組で生歌を偶然聴いて、一発で胸をえぐられてしまい、いても立ってもいられなくなったからだ。

 その点、歌の上手さは二の次にして、楽曲の素晴らしさにじわじわと虜になったのが斉藤由貴南野陽子だった。ルックスも揃ってタイプだったが、いかにも良家育ち風の二人のファンとは素直に言えない、ひねくれたところが当時の自分にはあった。

 しかし、この二人がどういうわけか、1985年から96年にかけ、続けざまにドラマで『スケバン刑事』(フジテレビ系)を演じた。もともと不良感度の高い、明菜や美奈子にはできない芸当。ツッパリのまんまやん~で以上終わりだ。ええとこのお嬢が不良少女っぽく振る舞うギャップに、視聴者は萌えまくった。そしてラストには、とことん感傷的な主題歌が流れるべきなのだ。

 しかも、『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』でのナンノは文字通り、その美貌を放送時間の半分は鉄仮面で覆われている。おまけに「おまんら、許さんぜよ」などと、野暮ったい土佐弁の台詞も強要された。いくら漫画が原作とはいえ、アイドルにはあるまじき設定。ところが、マイナスのかけ算のようにすべてがプラスに転じた。主題歌の『悲しみモニュメント』や『風のマドリガル』も切なかった。

 『悲しみモニュメント』は彼女がパーソナリティを務める、ニッポン放送の『南野陽子 ナンノこれしきっ!』のオープニングテーマとしても長く使用された。同番組でのナンノの軽妙なトークを作家の小林信彦が大絶賛していたが、当時の録音が何本もいまだYouTubeにアップされている。たまにバラエティ番組でナンノに遭遇すると、美貌もだが、トークの冴えも相変わらずだなと感心するのだ。

 さて、昨年はTBS系のドラマ『半沢直樹』での悪女役も評判となったナンノだが、4月には同じTBS系の『櫻井・有吉THE夜会』にもゲスト出演。20代は体のラインが出るボディコンを毎日着ていたが、今では「お米も1日4杯は絶対おかわり。肉が一番ご飯が進む」とぶっちゃけ、「50才を超えたし、今まで頑張ってきたから。今は、もう一杯!っていうのが、すごく楽しいの」と、爆笑しつつ明かしていた。

 さすが兵庫育ちだけあり、好物は牛肉。毎日必ず食べるという。また、13年には自身のFacebookで「ちくわの磯辺揚げが大好き」だと告白。「たいして思い出があるわけでもないし、練り物は全般にそんなに食べないのに……。 見つけると必ずたべます。食べないと祟りがあるのでは……って感じてるのか!ってくらい必ずたべます」とまで書いている。

■餃子もビッグな店が好み

 ということは、ちくわの磯辺揚げが欠かせないのり弁にも目がないのか? と思いきや、そちらへの言及はなかった。食レポも結構こなしている様子のナンノだが、ほとんどがお膳立てに乗った風。地元・神戸での行きつけ情報などは拾えるが、残念ながら未訪問の店ばかりだ(中学と高校の途中までお嬢さん学校に通っており、ご近所の青谷ベーカリー寄っては「カツ玉子ロール」を食べていたらしい)。

 ナンノだけは特別。こうなったら神戸に行くか…と思った矢先、ナンノがぼくも折りにつけ食べる餃子を偏愛していると、過去の「週刊現代」(17年1月28日号)の記事で読んだ。

 ナンノはそこで銀座「天龍」の名物餃子を紹介。初来店は02年のことだったという。当時のナンノは昼の連ドラの『一攫千金夢家族』(TBS系)で主役を演じ、長丁場の収録に身体が悲鳴を上げていた。そんな彼女を見かねた、新人の男性マネージャーが自腹でおごってくれたという。

「(前略)大きさにビックリ。かぶりついたら、おいしい肉汁がジュワッと出てきて、夢中で一皿平らげちゃった」

 なによりナンノはマネージャーの「ここは僕に払わせてください」の一言にグッと来たようだ。

「それ以来、パワー不足を感じたら、ここに来て、餃子をモリモリ食べて“餃子祭り”しちゃいます(笑)。打ち合わせのあと、お疲れ気味のスタッフを連れて来ることもあるし、時間がないときはテイクアウトするくらい好きなんですよ」

 天龍は1949年創業のジャンボ餃子の草分け。その頃から変わらぬ調理法を守り抜いている。上質な豚のモモ肉に産地直送の新鮮な白菜と長葱、醤油を加え、石臼で約40分練った餡を厚めの皮で包み、ふっくら焼き上げる。ニンニクなどの香味野菜を一切使用せず、臭いの心配は無用。

 よって女性ファンも多い。直系11cmの焼餃子は8個入りで1150円。ナンノが『スケバン刑事』で振り回していたヨーヨーのゆうに2倍近くある。それだけで一食が成り立つボリュームだ。「エビのマヨネーズ和え」など単品メニューや麺類も何気に旨いが、少人数だと2〜3品をシェアしてすぐ満腹になる。

 ともあれ、ナンノはジャンボ餃子が相当にツボらしい。09年8月19日放送の日本テレビ系『サプライズ』の“芸能人お取り寄せ”特集でも、かのホワイト餃子 野田本店を紹介している。ぼくも人一倍餃子を食べてきたが、自宅ではありつけないこの種のジャンボ系にとりわけバリューを感じてきた。ただ、「大きいことはいいことだ」と大昔のキャッチコピー(森永エールチョコレート)にあったが、大きさにおいしさが引き合うかというのは課題だ。

 そこへ行くと、天龍はジャンボ餃子の元祖にして最高峰。かぶりついているだけで、確かに元気が沸いてくる。ナンノにとっても、好物の炭水化物と肉がいっぺんに摂れる、一石二鳥の食事なのだろう。長い自粛期間のせいで、ぼくも何かとお疲れ気味。ぜひ“餃子祭り”を自身催し、パワーチャージしたいところだ。

(取材・文=鈴木隆祐)

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