『ボス恋』絶頂!上白石萌音・玉森裕太「仕事か結婚か」怒涛の「お仕事ドラマ」

ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)の9話は、仕事と結婚の究極の選択に苦心する人物を描いていた。夢を持つことと諦めることのつらさや、自分の幸せの基準をどこに設定するのかに着目した。
■仕事か結婚か、究極の選択に苦悩する人たち
9話は、潤之介(Kis-My-Ft2・玉森裕太/30)がカメラマンの仕事を辞めて跡取りとして宝来グループに入ることを決めたことで急展開を見せた。付き合っている奈未(上白石萌音/22)にプロポーズして、金沢に付いてきてほしいと伝える潤之介が生き急いでいるように見えたが、一大企業の御曹司として後を継ぐなら一日も早く入社して会社を知ることは大事だ。
一方で、潤之介はカメラマンとして仕事は順調だし、個展を開催したりコンテストに応募するくらいに夢を持っていたことからカメラマンの仕事を続けてもよかったのではないかと思っていた。しかし、そのコンテストに落選したことで跡を継ぐことを決めたように見えた。
跡を継ぐということは結婚して身を固めることを暗に示していて、両親が熱心に進めるお見合いではなく奈未と結婚することで心の安定を保ちたったはずだ。スーツを着る潤之介が寂しい顔をするのを見たくないし、優しい人が泣いているのは胸が痛む。それが現実になってしまうのが見ていてつらかった。
■奈未が仕事と結婚を両立できない理由
潤之介のプロポーズを受けた奈未だが、徐々に現実的な考え方をするようになる。勢いでOKしたものの、結婚して金沢に付いていくとなると仕事を辞めることになる。両方上手くやる方法はないの?とも思うが、相手によっては究極の選択をしなければならないことがある。特に女性には、人生において究極の選択が何度もあるように思う。仕事、結婚、出産。
どれを選択したかで自分の人生は決まるし、どこかで『自分にはなかった人生』を想像することが何度も何度も出てくる。それでも生きていかなければならない。だからこそ、ちゃんと悩んで選択しなければならない。
そして、奈未は仕事を選んで、潤之介も、潤之介との幸せな時間も捨てた。少し前までの奈未では考えられない選択。自分でも望んでいたと言っていた「人並みの幸せ」どころか最高級の幸せを選ばなかった。潤之介の寝顔にかわいいって呟いたり、ベッドでの甘いキスとか、隣で一緒に眠ることで温もりを感じるような、穏やかな幸せを選ばなかった。
そして、密かに自分を選んでもらえないことを潤之介が察していたのが切ない。都心のビルの屋上で、美しい星に包まれて、その星々よりもまぶしく輝いた指輪。それを左手の薬指から外して返す奈未と、一人残されて涙を流す潤之介が痛々しい。一方で、潤之介を演じる玉森の表情に目を見張ってしまう。肌がきれいだからなのだろう、一本線になる涙が美しすぎた。
■仕事を選んだ奈未が抱く夢は叶えられるのか
奈未は潤之介と別れることを選択するわけだが、ある程度のキャリアがあればどんな土地でも同じ職種の仕事をすることは可能だ。雑誌編集の仕事ならば、地元の情報を扱う地域情報誌や企業の広報部で社内報を制作するなどが思い当たるが、ある程度の経験と実績がないと厳しいだろう。奈未は、社会人としてまだ走り始めたばかり、今の職場で編集の仕事に手ごたえをつかみたいだろうし愛着もあるだろう。また、同僚との付き合いも良好で、仕事のしやすさといった点でも転職をするのは得策ではないと考えられる。このへんの苦悩や葛藤の描写が少ないから、奈未が安易に結婚をOKしたり断ったりしているように見えてしまったのは少し残念だ。
とても好きな人がいて、その人と付き合うことになって、結婚したいと思えるなんてそうないことだ。ましてや、その人からプロポーズを受けるなんて奇跡みたいなものだろう。この広い世界で、そんな素敵な人に出会えることなんて人生に何度あるだろうか。
それなのに、結構サラッといろんなことを決めてしまったような印象なのだが、23歳の奈未にとっては大きな選択だったのだと思う。そして、潤之介と出会ったベンチを見ながら想い溢れて泣いているところに、中沢(間宮祥太朗/27)が登場するのが上手すぎる。
「お前が、また泣いてる気がして」
奈未が心配で仕方ないといった表情で言葉をかける中沢。「俺ならお前のこと泣かせない」と言った6話から、すっ飛んできたみたいな熱い台詞に震えてしまう。このタイミングで優しくされてしまう奈未がどう思うのか。
次回は最終回、それぞれの選択に注目していきたい。
(文・青石 爽)
『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』は、大手出版社から新創刊される女性向けファッション雑誌編集部を舞台にしたオリジナル脚本。鈴木奈未(上白石萌音)は地方の田舎町で生まれ育ち、普通・人並み・安定を求める平凡な女性。ひょんなことからファッション雑誌の編集部で働くことになり、超ドS上司・宝来麗子(菜々緒)に振り回されたり、子犬系イケメンカメラマン・潤之介(玉森裕太)にキュンとしたりと、仕事に恋に悪戦苦闘しながらも成長していくお仕事&ラブコメディードラマ。1月12日から火曜日22時、TBS系で放送。