国際宇宙ステーションの内部で新種の細菌が発見される

カラパイア

国際宇宙ステーションの内部で新種の細菌が発見される
国際宇宙ステーションの内部で新種の細菌が発見される

Pixabay

 地上から約400km上空の熱圏を秒速約7.7kmで飛び、地球を90分で1周している国際宇宙ステーション(ISS)は2000年11月2日に3名の宇宙飛行士が滞在して以来、世界各国の宇宙飛行士を乗せ、現在も宇宙空間を飛んでいる。

 そしてそこには、宇宙空間ならではの生物多様性とでもいうべきものがあるのかもしれない。

 NASAと一緒に研究を進めるアメリカとインドの研究者によって、ISS内部で4株の細菌が発見されたのだが、そのうち3株は新種だったそうだ。
・宇宙ステーションに新種の細菌

 細菌が発見されたのは2015年から16年にかけてのことだ。

 まずISS内の天井パネルで発見され、その後もキューポラ(ISSの観測用モジュール)やダイニングテーブル、さらには2011年に地球に持ち帰られた使用済みHEPAフィルター(清浄空気にする目的で使用するエアフィルタの一種)の中からも発見された。

 HEPAフィルターで見つかった細菌は、既知の「メチロバクテリウム・ロデシアヌム」と特定されたが、それ以外の3株はいずれも、これまで知られていなかったメチロバクテリウム属の新種であることが判明。

 「メチロバクテリウム・インディカム」の近縁と考えられており、今のところそれぞれ「IF7SW-B2T」「IIF1SW-B5」「IIF4SW-B5」と呼ばれている。

メチロバクテリウム属の細菌
メチロバクテリウム属の細菌 credit:Aslam et al, Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 2007

・宇宙ステーションでの野菜栽培の影響か?

 4株の細菌は、土や淡水に生息する細菌の仲間で、窒素固定や植物の成長を手助けし、植物を病原菌から守ってもくれる。基本的に植物にとっては好ましい種類だ。

 そんな普段は土の中にいる細菌が一体ISSで何をやっているだろうか? じつはISS内では食料生産も試みられている。だから植物に関係する細菌がいたとしても特に不思議はないのだとか。


2_e
宇宙ステーションで育ったラディッシュ credit:NASA

・宇宙農業の鍵を握る細菌

 ISS内部は極限環境だが、3株の細菌はそこで生存できることがすでに確認されている。では地球上でそうしているように宇宙空間でも、植物の成長を助けることはできるのだろうか?

 遺伝子解析の結果、IF7SW-B2Tは、根や新芽の細胞分裂を助ける植物ホルモン「サイトカイニン」に必須な酵素を作り出す遺伝子を持っており、特に期待できそうなことが明らかになっている。

 こうした研究は、微重力下でも植物の成長をうながしてくれる遺伝的決定基の特定に役立つとのこと。やがて長期間にわたる宇宙ミッションでもきちんと育つ作物の開発につながるかもしれない。

 NASAジェット推進研究所のカスツーリ・ヴェンカテーシュワラン博士は、「分離された新種株は、負荷のかかる環境で植物の成長を促進してくれるので、資源が乏しい極限環境で植物を成長させるには必要不可欠」と、その重要性を語る。

1_e
宇宙産のレタス credit:NASA

・ISSにはまだまだ未知の種が存在するかも

 なお、ISSの生物多様性は、ほんのさわり程度に調査が行われたにすぎない。その内部ではすでに1000サンプルが収集されており、地球で解析される瞬間を待っているそうだ。

 この研究は『Frontiers in Microbiology』(3月15日付)に掲載された。

References:Three bacterial strains discovered on space station may help grow plants on Mars | EurekAlert! Science News/ written by hiroching / edited by parumo
「国際宇宙ステーションの内部で新種の細菌が発見される」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る