冷戦時代の極秘ミッションで保管されていた氷が解き明かしたグリーンランドの過去の秘密
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第二次世界大戦後の世界を二分した冷戦時代、グリーンランドで極秘ミッションを行っていた米軍が持ち帰った氷、その中には、氷に閉ざされているこの島の過去を解き明かす手がかりが隠されていた。
当時、グリーンランドの氷床を掘り、無数の核弾頭を埋め込む作業を行っていた米軍だが、この計画は立ち消えとなり、掘られた氷はデンマークの冷凍庫に保管されたままだった。
最近その氷が発見されたのだが、氷の中からは100万年前の植物の化石が入っていたのだ。つまり今、氷に閉ざされたグリーンランドは数百万年、植物の生い茂る緑豊かな時期があったことが明らかになったのだ。
・「アイスワーム計画」で掘られた氷に隠されていた秘密
1966年、米軍はグリーンランド北西部で氷床を掘るという極秘作戦を遂行していた。「アイスワーム計画」と呼ばれるこの作戦の目的は、無数の核弾頭を氷の中に隠し、ソ連に気づかれることなく、その領土を射程に収めることだった。
しかし結局計画は立ち消えになり施設は廃棄。掘られた氷はデンマーク、ニールス・ボーア研究所の冷凍庫に保管されたまま忘れ去られた。その氷が再び発見されたのは、2017年のことだ。
FOSSIL PLANTS found beneath MILE-DEEP GREENLAND ICE
今現在グリーンランドをおおっている氷は、およそ300万年前のものだと考えられている。しかし氷の中からは、小枝や葉など、100万年前の植物の化石がフリーズドライされた状態で出てきたのである。
『PNAS』(3月15日付)に掲載された研究では、それらを「完璧に保存された」化石と紹介している。葉からはろう分の痕跡が検出されており、グリーンランドに今も生えているツンドラ生態系のものと似ていることも判明したという。

氷の中に入っていた植物の化石 credit:hrist et al.,PNAS,2021
・氷に閉ざされたグリーンランドはかつて、緑豊かな時代があった
今日のグリーンランドは、170万平方キロと日本の4.5倍近い範囲が氷におおわれた凍てつく世界だ。
しかし氷に閉じ込められていた植物は、過去数百万年のどこかの時点で、グリーンランドに植物が生い茂る氷のない時代があったことを示している。そうした時期はおそらく数十万年は続いていたという。
研究グループの1人、米バーモント大学のアンドリュー・クリストファー博士は、氷のサンプルはグリーンランドが氷に閉ざされる前のタイムカプセルのようだと語る。
「普通、氷床はその途中にあるものを粉々に壊してしまいますが、私たちはそこから繊細な植物構造を発見できました。化石ですが、まるで昨日枯れたかのようです」

credit:Joshua Brown / UVM
・グリーンランドの氷は加速的に失われ続けている
かつて温暖な時期があったという事実は、グリーンランドの氷は温暖化に対して脆弱である可能性が高いということになる。
グリーンランドにある氷は、完全に解けてしまえば海面を7メートルも上昇させられるだけの量だ。これが実際に起きれば、沿岸部で暮らす人々には甚大な影響がもたらされることだろう。
事実、グリーンランドの氷は加速的に失われ続けており、2055年頃には暖かい季節に融けた氷が積雪によって補われることもなくなるだろうと予測されている。
地球の気候はデリケートなバランスの上に立っています。もし大きく変化すれば、氷床の大部分が解けてしまい海面が上昇します。そうなれば、地球上で人口密度が高い地域の大部分が水浸しになるでしょう
クリストファー博士は温暖化が進み続けた未来について警鐘を鳴らしている。
References:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo
追記(2021/03/21)タイトルを訂正して再送します。