江口のりこ「主役を食う怪女優」の真髄(3)上り詰めた女版・大仁田厚 (2/2ページ)
荒々しく犯されているのに「もっと、もっと‥‥」と懇願し、最後は首を絞められながら「もう少し、もう少しよ‥‥」と嗚咽し、ついにはイキ果てるのだった。
劇中では、江口が焼け野原でヘアを剥き出しにしているシーンまである。
こうしたハードな体当たり艶技ばかりか、時にコミカルに、時にシリアスに幅広く特異な演技に対応できるのは、女優を目指し実現させるまでの足跡同様、その生き様が反映されているのだろうか。
「確かに、思いがけない行動に走り出す突飛なところはあるようです。親友だという真木よう子がテレビ番組で暴露したところによれば、芸能人の元カレがDV男だったといいます。デート中に機嫌が悪くなり『ケータイを池に投げたら許したる』と言われ、江口は本当に池に投げ入れたそうです。ドM素顔という意外な引き出しも持ち合わせているのでしょう」(芸能記者)
つくづく、ミステリアスで正体を掴ませない女優と言える。
一方で、平田氏はこう評するのだ。
「小金を握りしめて勝負のため上京してきた江口の姿は、かつて全財産の5万円を元手にFMWを旗揚げした大仁田厚の立身出世物語と重なります。デスマッチという奇抜な方法論で支持を得て、ついには国会議員にまで上り詰めたんです」
なるほど、江口も型にはまった王道を歩んだわけではなく、クセのある脇役から主役へと駆け上がっていった。くしくも、大臣の役まで務めることに。ただし大仁田と違って、江口が何度も引退することはあるまいが‥‥。
秋本氏が語る。
「今は“江口バブル”と言える状況かもしれません。とはいえ、彼女の場合は、一時的なブレイクで露出し、その後は消えていく人たちとは違う。コンスタントに脇で活躍し、また主役を食ってしまうのでしょう」
実に味のある女優なのである。