堀田茜「全ラーメン界の中で味噌ラーメンが神」と語る女優が100回も通った母校近くの名店

日刊大衆

堀田茜
堀田茜

第66回 むてっぽう

■味噌ラーメン愛を語るお嬢様女優

 アイドルだってメシを食う。連続になってしまうが、今回も味噌ラーメンがお題。食べる人はモデル・女優の堀田茜だ。昨年末まで雑誌『CanCam』(小学館)専属の美女である。

 幼稚園から高校までカトリック系の私立育ちで、大学も立教の仏文。申し分のないお嬢キャラだ。こういう女性に限って、ラーメン好きを公言し、好感度を上げる。そして、実際にデートでラーメン屋に入ろうものなら、あからさまにふて腐れるのだ。テレビで彼女の味噌ラーメンフリークぶりを見て、そう冷ややかに思っていた。

 しかし、どうもその『沸騰ワード10』(日本テレビ系)では、何度となく味噌ラーメン愛を語り、店訪問を重ねるうち、家庭でできる“絶品味噌造り”まで体験してしまったらしい(2020/10/30 OA)。「自分だけのラーメンを作ってみたい」のは、ラーメン好きなら誰しも思うこと。

 ただ、彼女はあくまで番組企画とはいえ、有言実行してしまった。長野県松本市で江戸期から150年以上続く老舗、信州三年味噌「石井味噌」を訪れ、味噌の仕込みを教わった。実際の完成まで半年かかるので、そろそろ自作の味噌でラーメンを作るという場面を番組で放送するのだろう。

 その前の8月7日放送回では、去年の自粛明けで5ヶ月ぶりに味噌ラーメンを食べ歩き、渋谷の「真武咲弥(しんぶさきや)」では実作にも挑んだ。

 とはいえ、元々ある炙り味噌ラーメンに、バターとキャベツのトッピングを提案しただけなので、オリジナルとは言い難いが、もはや同番組では、堀田茜=味噌ラーメンというのがお馴染みのネタなのだ。シリーズ展開するうち、覆面で塩や醤油との食べ較べをしたら、全問不正解で「味音痴」のレッテルを貼られたりしている(2019/08/02 OA)。

 しかし、なぜ彼女が「全ラーメン界の中で味噌ラーメンが神だと思います」と言い張るようになったのか? どうも大学進学がきっかけのようだ。そもそも『沸騰ワード10』に初出演した際、立教大のキャンパのある池袋も案内し、「思い出がいっぱいある場所」だと浸りつつ、こんなことを語っている(2019/06/07 OA)。

「ラーメン激戦区だったので、どこに入ってもラーメンがおいしくて、ラーメン好きの友達と通ってました。それでよりラーメンに目覚めた」

 そんな池袋で学生時代に100回は通ったのが、味噌ラーメンで有名な「むてっぽう」だったのだ。ただ、むてっぽうのメニューには醤油も塩もある。100回も行ったなら、1度や2度は浮気をしそうなものだが、そこがお嬢さん育ちの無垢なところ。最初に食べておいしいと思えた、味噌一点張りだったのだろう。実際、むてっぽうに限っては味噌に尽きる(とぼくも思ってきた)。

■普段使いで食べられる安心の味

 同店のサイトを見るまで忘れていたが、ヌードルチェーンSAという経営元の所在地は富山県富山市で創業は05年。池袋の他、同市内に2軒、そして同県内の魚津市に1軒ある。池袋にも15年以上前から店を構えているはずだ。

「無鉄砲」という漢字表記の、奈良発のラーメンチェーンもあるので紛らわしいが(都内には系列を含め中野に3店のみ)、そちらはドロッとしたとんこつラーメン。一方のむてっぽうは魚介系スープがベース。

 全体に価格が安く、味付け卵も1個40円以上の寄付をすれば、セルフで取り放題なのが嬉しい。行列必至の界隈の店の中ではそこまで混んでおらず、気兼ねなく長居できるため、ちょい呑みにも使い勝手がよい。自家製ソーセージなどつまみ類も豊富で、〆にラーメンというパターンを決められる。また、かつては動物系出汁を使わない味噌ラーメンも提供していたと記憶するが、かなり優しい味わいで、二日酔いの際などに時々食べたくなった。

 そのせいでぼくも味噌推しなのだが、どうやら富山では、むてっぽうも「新感覚の醤油ラーメン」が看板との認識のようだ。富山のラーメンといえば、過激にしょっぱい、真っ黒な醤油スープの富山ブラックで知られるからか。

 もっとも、富山ブラックも肉体労働者向けに生まれただけあり、県内でも主流とは言えないそうだ。地元のブロガーによるランキングを見ても、1位は家系の「元喜家」だった(他に石川県や栃木県内に系列店あり)……。

 正直、『沸騰ワード10』で茜が訪ねてきた他店、先の「真武咲弥」もだが、例えば京橋発の「ド・みそ」、神田発の「鬼金棒」などのほうがクオリティは高いと思う。しかし、動物系の出汁がいささかくどいド・みそも、唐辛子の他に山椒をふんだんにかけ、“カラシビ”を標榜する鬼金棒も、毎日食べる気にはならない。ラーメンに大切なのは普段着感覚の優しさなのだ。

 物心つく前からおよそ半世紀、西武池袋沿線で暮らしてきたぼくにとっても、池袋はほぼホームグランド。東京育ちの根無し草には、薄汚れた池袋の路地こそ、「住めば都」を感じさせる。

 また、幼い頃もオヤジになってからも、立大生の愛した味は自身のソウルフードでもある。思えば、一帯のラーメン屋も様変わりした。この激戦区で15年選手のむてっぽうも立派なものだ。

 番組を通じ、味噌ラーメンの冒険を続ける茜だが、最後には結局、ここに帰ってくるのかもしれない。立教もミッション校なので、さしずめ「ホームカミングデー」といったところ。池袋で自分にとってのホームラーメンはまた別にあるのだが、ぼくもこう書きながら、急にむてっぽうを訪ねたくなった。

(取材・文=鈴木隆祐)

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