乃木坂46和田まあやの個人PV〈東京三部作〉のそれぞれの味わい【乃木坂46「個人PVという実験場」第18回3/6】 (2/3ページ)

日刊大衆

 冒頭とラストカットは、「屋上のまあや」に準じるように都心の夜景を一望する場所で撮影されているが、総体として印象付けられるのは俯瞰としての東京ではなく、和田が新宿や吉祥寺、台場など東京各地を闊歩する姿、また東京に根を下ろして生活する彼女の肖像である。

 もっとも、「住みし都」は和田まあや自身のパーソナリティから離れ、体裁上は虚構の人物にクローズアップしたフィクションのポートレートになっている。和田がここで演じるのは、名前も年齢も来歴も和田自身と異なり、また有名性を背負った人物でもない。

 東京に出てきて2年目、駅から12分のワンルームに住まい、事務のアルバイトをして暮らす、固有の生を背負った一人の人間である。

 しかし一方で、大都市圏において無数に見つけられる人物の特徴を切れ切れに織り込んだそのキャラクター造形は、個別具体的であると同時に、都市に生きる人間としてどこか抽象的で一般化された像でもある。

 彼女がふれる都会の寒々しさもテンポラリーな人情味も、やはり誰もがイメージしやすい繁華街の風景である。それだけに「住みし都」は、見る者それぞれがどこかで経験したようなものとして受容しやすい情景を切り取ったものといえる。

 そしてその人物像は、主演する和田まあや自身とも当然のごとく重なる。買い物のついでに魚屋の店員とささやかなコミュニケーションを交わす和田の姿は、彼女が演じる虚構のキャラクターとして以上に、現実世界の和田まあやのパーソナリティを垣間見るような雰囲気をまとう。

■東京の足を踏み入れる瞬間を描く作品

「住みし都」で上演されたのは、故郷を離れて東京に生きる架空の、しかし多くの人々にとってなにがしか既知の情景を喚起する若者の姿だった。そこには、主演の和田自身の人格も、東京を生きる若者像の一つとして綯い交ぜに織り込まれる。

 他方、同作品からおよそ一年後、彼女にとって「住みし都」以来の個人PVとなる作品内でクローズアップされたのは、彼女が「都」での生活を始める少し前、確固たる目的を持って東京に足を踏み入れる瞬間だった。

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