犯罪者にいじめ加害者…「悪者」を生み出すシステムとは? (2/2ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大を止められない原因の一つに行政の不手際があるのはまちがいないが、采配を振るっているのは、私たちが選挙で選んだ政治家だ。どんな人も不勉強や無知や傍観によって、悪人を生み出すシステムに手を貸している。これが「あなたのせい」の真意だろう。
ある人が貧困によって犯罪に走るのだとして、本人が責められるべきなのはもちろんだが、解決すべきは貧困や、相対的に貧困を生み出す仕組みになっている資本主義の行きすぎなのかもしれないし、あるいは貧困から抜け出す武器になりえた教育の不備なのかもしれない。いじめは加害者が100%悪い。そこで「いじめられた方にも何らかの理由がある」とするのはご法度だが、「なぜいじめたのか?」を突き止めないことには、次のいじめは必ず起こる。
本書では、「悪人」が生まれる土壌となっている社会の仕組みやシステムに冷徹な視点を向ける。民主主義や資本主義、ダイバーシティ、SDGsなどなど、私たちが正しいと信じて疑わないシステムのどれもが、例外なく負の側面を持っている。その負の側面には「悪人」が群がっている。
正解を見つけるのが難しく、また正解などあるのかどうかもわからない問題が山積する社会を少しでもいい方向に向けるために、そして難解で複雑で多層的な世界の実像を若い世代に伝えるために、本書は一役買ってくれるはずだ。
(山田洋介・新刊JP編集部)