【今さら聞けない】幕末用語の素朴な疑問:明治「維新」ってどういう意味?その由来も紹介

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【今さら聞けない】幕末用語の素朴な疑問:明治「維新」ってどういう意味?その由来も紹介

黒船来航、尊皇攘夷、大政奉還、そして倒幕、戊辰戦争……などなど。

源頼朝公の鎌倉開府より700年近くの永きにわたった武士の世が終わりを告げ、日本が近代世界へ第一歩を踏み出した明治維新

政権(大政)が徳川幕府から朝廷へと返(奉還)された大政奉還により、武士の世が終わりを告げた。邨田丹陵「大政奉還図」より。

「ところで『維新(いしん)』ってどういう意味?」

その字面から、何だか世の中が一新されそうな感じはするものの、できればもう少していねいに理解していた方が、歴史ファンとしてはスッキリするところ。

そこで今回は、明治「維新」の意味と由来について紹介したいと思います。

天から祝福される政治を!藤田東湖の決意表明

水戸藩政の一新に取り組んだ藤田東湖。Wikipediaより。

幕末において維新という言葉が使われるようになったのは、水戸藩士・藤田東湖(ふじた とうこ)が藩政一新の決意を述べる際に引用した

「周雖旧邦其命維新
(しゅう、きゅうほうといえども、そのめい、これあらたなり)

【意訳】周は古い王朝であるが、その天命は新しさを維持している。

……という『詩経(しきょう。古代中国の詩集)』の一節が出典(※)とされています。
(※)諸説あり。また、幕末以前にも維新の用例はありますが、今回は割愛。

古来、中国大陸では「天命(天からの命令or使命≒祝福)をうけたものが天下を支配する」ものとされ、悪政によって天に見放された王朝は滅び、また新たに天命をうけた者がなり代わるという思想があります。

これがすなわち「天命を革(あらた)める」易姓革命なのですが、周は長期政権におごることなく善政に努めたため、天命はなお新しさ≒鮮度を維持していたのです(少なくとも当時は)。

そして2000年以上の歳月を経た江戸時代の水戸藩も同じく、天から見放されぬよう政治を一新する決意を述べたのでした。

この事から「天から祝福される国家(王朝)の正当性を維持できるよう、課題を解決していく政治的刷新」を「維新」と呼ぶようになったのです。

まとめ

問:維新とは?
答:天から祝福される国家(王朝)の正当性を維持しながら、課題を解決する政治的刷新

日本はその建国(※初代・神武天皇が即位された紀元前660年)から2681年を経た令和の今日に至るまで、天命を受けた王朝(皇室)が変わることなく続いてきました。

これは世界史上でも稀有なことであり、現存している国家の中で、日本は最も長い歴史を有しています。

「日本も旧邦といえども、その天命これ新たなり」

天皇陛下の権威によって、権力はその正当性を保証され、国民もまたこれに従う。和田英作「憲法発布式」より。

その時々によって権力者は交代しても、皇室の権威によって国を統治する政治の原則は一貫しており、両立する権力と権威のバランスこそが天から祝福され続けた維新の知恵であり、日本国のあり方と言えるでしょう。

明治維新がそうであったように、これからも日本の天命がこれ新たなるよう、維新の精神をもって政治がよりよくなっていくことを願っています。

※参考文献:
但野正弘『藤田東湖の生涯』錦正社、1997年10月
宮田正彦『水戸学の復興-幽谷・東湖そして烈公-』錦正社、2014年7月
石川忠久『新釈漢文大系110 詩経 上』明治書院、1997年10月

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