「70歳定年時代」に使える「最強資格」!シニアの再就職パスポート
「もっと働きたい」は元気な60代の切なる願い。新しい仕事を見つけるための強い味方を専門家に聞いた!
最近まで「60歳定年」だったのに、「70歳定年」時代が目の前に迫っている。今年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法で、企業に70歳まで働く機会を確保する「努力義務」が課されることになったのだ。働く機会が確保されるのは、うれしいことのように思えるが……。
「将来的に政府は、定年を延長することで、年金支給年齢の繰り下げを狙っているんでしょう。体力のある大企業はまだしも、ギリギリでやっている中小企業にとっては死活問題。60歳以上の社員には、給料を一気に減らしたり、退屈な仕事を与えたりして、自主的に辞めるよう仕向ける例も増えるでしょう」(全国紙社会部記者)
ならば心機一転、新しい仕事、自分がやりたかった仕事に挑戦しようという人も、多いかもしれない。しかし、中高年の再就職に詳しいキャリアコンサルタントの福林弘祐氏は、そんな風潮に警鐘を鳴らす。
「コロナ禍で職を失った飲食業や観光業の若い人が、求人に押し寄せています。そのあおりで、中高年の再就職のハードルは、いっそう高くなっているんです」
そこで強い味方になるのが「資格」や「検定」「技能」だ。その数は3000を超えるといわれるが、今回は定年後の仕事探しに役立つオススメの資格を、専門家に聞いた。
■介護業界はシニアの求人も多い
まず、高齢化が進み、人手不足に陥っている介護業界から。シニアの求人も多い業界だ。
「介護の現場で重宝されるのは国家資格の“介護福祉士”ですが、3年の実務経験か専門学校などを卒業する必要があり、試験も難しいですね」(人材派遣業者)
そこで注目は、民間資格の「レクリエーション介護士」。介護の現場で高齢者を楽しませるノウハウがあるかないかを問われる資格だが、受検資格はなく、介護施設での需要は高い。現在、埼玉の介護施設で働くAさん(64)は言う。
「面接で事前にこの資格を取った熱意が認められて、採用されました。スタッフに“どんなレク(娯楽)がいい?”などの相談を受けることも多く、入居者の方笑顔も見られて、やりがいにつながっています」
シニアに人気のマンション管理人は、難しい国家資格よりも民間資格が狙い目だ。国家資格の「マンション管理士」は、管理組合への助言なども行うため、学習期間が1年ほど必要で、合格率は約8%と低い。760個以上の資格を持ち、情報サイト『オールアバウト』で「資格」ガイドを務める鈴木秀明氏は言う。
「受付や清掃、設備点検の立ち会いなど、一般の管理人に求められることを学ぶには、民間資格の“マンション管理員検定”で十分。取得もずっと簡単ですし、面接でプラスになります」
意外な資格が、再就職で強みを発揮することもある。車好きでタクシー運転手を目指す人にうってつけなのが、「東京シティガイド検定」だ。
「東京の観光名所や歴史が幅広く出題されますが、受検者の約4割がタクシーやバスのドライバーさんです」(前同)
その理由は、タクシーで観光案内を希望する乗客が想像以上に多いため。東京ハイヤー・タクシー協会認定の「東京観光タクシードライバー」になるにも、この検定の合格が条件という。
こうしたご当地検定は全国各地にあるので、タクシー業界への再就職を考えるなら、チェックしたい。
■「フォークリフト運転技能者」は大きな武器
最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転するのに必要な資格が「フォークリフト運転技能者」。運送会社や倉庫、工場や工事現場など、幅広い業種で重宝されるうえ、小売業でも活躍できるという。
「商品を搬入するときに、一人いてくれると助かりますね」(大手スーパー社員)
自動車教習所などで講習を受けられ、合格率はほぼ100%。普通運転免許を持っていれば、学科講習が11時間から7時間に短縮される。
「こうした特殊な技能を持つ人は少ないため、再就職の大きな武器になります。また、特別手当がつくことで、収入面もアップします」(前出の福林氏)
シニアが若い世代より有利な業界を狙う手もある。たとえば葬儀業界だ。
「この世界ではスタッフの人柄が重視され、なにより信頼感や安心感が求められます。その点、中高年の方はいるだけで安心できますから」(葬儀関係者)
葬礼関係の資格には「葬祭ディレクター」「お墓ディレクター」などがあるが、いずれも実務経験が必要だ。
未経験者でも受検できるのは、「葬送儀礼マナー検定」。検定の問題はお参りの作法や香典マナー、盆や彼岸の知識など、ごく身近なものだ。受講を申し込むとテキストが郵送され、90日以内に自宅のパソコンやスマホで簡単に受検できる。
富山県のBさん(66)は、親友の葬儀を落ち着いた様子で進めたスタッフの姿を見て、葬祭の仕事に興味を持った。だが、葬儀社に知り合いはいない。
きっかけをつかもうと、この検定を受け、合格通知を手に、地元の葬儀社に飛び込んだという。
「社長は面食らった様子でしたが、資格を取った理由を話すと、ちょうど人手が足りなかったようで、快く面接をしてくれました」(Bさん)
■自分に合った仕事を探すには
前出の福林氏は「資格を取るのに一番必要なのは、こうしたモチベーション」と力説する。
「資格があれば、再就職できるというのは早計ですね。まずは、どんな仕事につきたいのかを考えることです。それから資格試験に挑戦することで、合格率は上がります」(福林氏)
自分がどんな仕事に向いているか分からない、という人は、ハローワークで行っている
「一般職業適性検査」を受けてみよう。受検料は無料で、1時間半ほどの検査で自分の能力や適性を教えてくれるという。その結果、「指先の器用さ」や「手腕の器用さ」が評価されたなら、「DIYアドバイザー」を取る手もある。試験では、住まいの補修・改善に必要な用具やノウハウが問われるという。
「コロナ禍による外出自粛もあり、ガーデニングや日曜大工の人気が高まっています。そのため、ホームセンターでは売場を増やすケースもあり、求人も増えているようです」(前同)
最後にオススメしたいのは、「実用マナー検定」だ。自宅での受検も可能で、ビジネスシーンでの身だしなみやあいさつ、敬語の使い方などが一から学べる。
「中高年は案外、ビジネスマナーを忘れていることが多いんですよ。長く勤めた会社の色に染まって、横柄な態度を取ってしまうことも。再就職にあたって、基本を見直すことは大切です」(同)
面接を受けるときの自信にもなり、採用率もアップするそうだ。
最後に前出の鈴木氏が、資格を取る利点を挙げる。
「履歴書に載せて、自分のスキルをアピールするために資格を取りたいという人がほとんどでしょう。でも、資格を取るために勉強した知識が意外なところで役に立ったり、試験に合格することで前向きになれるという効果もありますよ。コロナ禍で時間が取りやすくなっている今はチャンスです。興味を持った資格は受検日を確かめて、どんどん受けてみるべきです」
自分にあった資格を手に、新しい職場で“第二の人生”を満喫しましょう!
■再就職できる!60歳からの「資格」18選
家電製品アドバイザー 冷蔵庫などの“生活家電”とテレビなどの“AV情報家電”の2種類があるので、興味があるほうを取ろう。量販店での再就職に有利。
警備員 シニアの需要が高い警備員の仕事だが、資格を持っていることで待遇がよくなる。“施設警備”や“交通誘導”などに分かれている。
鍵師技能検定 カギをなくした場合の解錠方法などが問われる。不動産会社でも役立つ資格。受験資格に“前科などのない者”とあるのが興味深い。
危険物取扱者 “乙種4類”を持つとガソリンを扱えるので、ガソリンスタンドに就職すると重宝される。資格があると、特別手当がつくことも。
登録販売者 ドラッグストアで一部の一般用医薬品が販売できる。医療系の国家資格では珍しく受験資格がいらず、合格率も高いので狙い目だ。
グリーンアドバイザー 花や植物の育て方が問われる資格。コロナ禍でガーデニングの人気が高まっており、ホームセンターなどでの就職に有利だ。
お墓ディレクター 検定葬儀社などでの実務経験が必要だが、墓石という高い買い物の際に信頼感を与え、今後、需要が増えることが見込まれる有望な資格。
介護職員 初任者研修介護職でキャリアアップを図るうえで、その入り口になる資格。かつては“訪問介護員(ホームヘルパー)2級”と言われていた。
スマート介護士 ロボットなどの福祉の最新ツールを学べるので実用的。始まったばかりで知名度は低いが、取得すれば介護施設の採用時に注目が。
スポーツ医学検定 筋トレの方法や運動中にケガしやすい部位など、生活に結びついた知識も得られる。公共体育館やスポーツクラブなどで需要あり。
調理師 料理人の国家資格として人気が高い。2年以上の実務経験が必要だが、資格手当による収入アップも期待できる。
食生活アドバイザー “食”に関する幅広い知識が問われる資格。取得すると、飲食店やスーパーから、介護や医療の現場まで幅広い仕事で活用できる。
弁当サービス管理士 弁当調理の資格。コロナ禍でテイクアウトやデリバリーへの需要が高まっている今、弁当のみならず飲食店への就職に広く有利。
発酵検定 味噌や納豆など発酵食品の知識を問われる。コロナ禍で免疫力を上げる発酵食品への注目度は高く、飲食店などの再就職に有利。
実用ボールペン字 パソコンが普及しても、まだまだ手書きの書類は多い。事務での再就職を希望するなら持っておきたい。採用時の履歴書でも有利に。
毛筆書写技能検定 字に自信があるなら挑戦したい資格。“筆耕”と言われる封筒や葉書の宛名書き、礼状や賞状の代筆など、内職で稼ぐこともできる。
テレワーク検定 昨年から一気に広まったテレワーク。導入方法や、労働管理の注意点などを問われるこの検定は現在、企業の注目を集めている。
サウナ・スパ健康アドバイザー サウナブームが続いているが、この資格を取ると指定のサウナ施設などで割引特典が! 再就職のために、まずは体調を整えよう!