新たに発見されたドラゴン人(竜人)は現生人類に一番近い親戚である可能性

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新たに発見されたドラゴン人(竜人)は現生人類に一番近い親戚である可能性
新たに発見されたドラゴン人(竜人)は現生人類に一番近い親戚である可能性
新たな人間の種、ドラゴン人(竜人)を発見。現生人類に一番近い存在である可能性
image credit:Chuang Zhao

 現生人類「ホモ・サピエンス」に一番近い親戚は、これまでネアンデルタール人であると考えられてきた。しかし本当はもっと近い親戚がいた可能性が高まってきた。

 中国で発見された頭蓋骨は、これまで知られていなかった、新たな人間の種であることが明らかとなった。「ドラゴン人(竜人)」と名付けられたこの種は、人類の進化の謎を解き明かしてくれることが期待されている。

・新種のヒト属「ドラゴン人(竜人)
 中国・河北地質大学地球科学博物館に所蔵されている巨大な頭蓋骨の分析結果が、中国科学院、河北地質大学、イギリス自然史博物館などの研究グループによって発表された。

 『The Innovation』に掲載された3本の論文(こちらこちらこちら)によれば、それは新種のヒト属(ホモ属)のものである可能性があるという。

 その新種は頭蓋骨の発見地「竜江」にちなみ、「ホモ・ロンギ(Homo longi)」と命名された。ドラゴン人(竜人)という意味だ。

 既知のヒト属のものとしては最大で、ネアンデルタール人よりも我々ホモ・サピエンスに近いと考えられるという。
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image by:Chuang Zhao

・ドラゴン人発見までのドラマ
 頭蓋骨が発見された経緯はかなりドラマチックだ。発見したのは黒竜江省のハルビン市で働いていたとある中国人男性である。

 その人物は1933年の発見当時、旧日本軍の請負業者だった。そのため男性は頭蓋骨を日本軍の上司にわたすことなく、使われていない井戸に隠すことにした。中国には宝物を古井戸に隠す習慣があったらしい。

 このおかげで、頭蓋骨は戦火や文化大革命といった混乱を間逃れることができた。男性は死ぬ間際にそのことを家族に伝え、2018年に再発見される。最終的に河北地質大学地球科学博物館に寄贈されるにいたった。

Viritual Harbin Cranium Reconstruction・現生人類に最も近い親戚である可能性
 研究グループのクリス・ストリンガー氏の解説によると、頭蓋骨はとにかく巨大であるという。大きな脳が収まっていたはずで、目と目の間の眉弓は長く低く大きい。顔・鼻・アゴも非常に幅広く、眼球も大きかったはずだ。

 一方、顔が低く、頬骨は華奢で、脳頭蓋の下が奥に押し込まれている。これらは現代人にも見られる特徴である。

 頭蓋骨の持ち主は、どうやら男性で50代で死んだようだ。その頭頂部にはわずかな陥没が見つかっているが、これが死因であることを示す証拠はない。
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ホモ・ロンギ(ドラゴン人)の大きな頭蓋骨 / image credit:NHM

 研究では600以上の特徴が分析され、他の初期人類の化石との類似性を表す系統樹がつくられた。その結果から、この頭蓋骨とその他中国で発見されたいくつかの化石は、ネアンデルタール人やホモ・サピエンスと同時代に生きた3番目の系統であることが示唆されたという。

 先述したように、ドラゴン人はネアンデルタール人よりもホモ・サピエンスに近い可能性がある。それはつまり、我々とホモ・ロンギの共通祖先は、我々とネアンデルタール人の共通祖先よりも後の時代まで生きていたということだ。

 系統樹からはもう1つ、我々とネアンデルタール人との共通祖先が、100万年以上前に生きていた可能性が濃厚であるということも明らかになっている。これが正しければ、これまでの説より40万年も前だったということになる。
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頭蓋骨の特徴をもとに作成された系統図。竜人は黄色で囲まれたグループ。青で囲まれた現生人類のすぐ隣に位置する / image credit: Ni et al.・14万6000年前を生きたドラゴン人
 頭蓋骨の発見地として伝えられているのは東江橋周辺だが、蛍光X線や希土類元素などによる分析からは、確かにそれが正しいだろうことが確かめられている。

 それが埋まっていた地層は、更新世中期(250万年から1万1700年前)から完新世(1万1700年前から現在)のものだと推測される。また放射年代測定の結果は頭蓋骨が14万6000年前ものであることを示している。

 こうした時間軸を考慮すると、ホモ・ロンギはホモ・サピエンスといった他のヒト属の仲間と同時代に生きていた可能性もあるという。更新世中期のハルビンは木々の生えた氾濫原で、ホモ・サピエンスと同じく、哺乳類や鳥類を狩り、野菜や果物を集め、もしかしたら漁業なども行ってかもしれないと研究グループは推測する。

 またホモ・ロンギの大きさや中国北東部という発見場所から推測すると、寒く厳しい環境でも生存でき、それのためにアジア中に移住しやすかったと考えられるという。
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image credit:Chuang Zhao・ドラゴン人の正体はデニソワ人なのか?
 ただし、これが新種の人類であるという説は、少々言い過ぎではなかろうかと疑問を呈する研究者もいる。新種ではなく、すでに知られている「デニソワ人」ではないだろうかというのだ。

 デニソワ人は、ハイデルベルク人の祖先から進化し、60万年前にアフリカからユーラシア大陸へ広まったとされるヒト属の一種だ。

 ハイデルベルク人はヨーロッパではネアンデルタール人に進化したが、アジアではデニソワ人に進化したと考えられている。

 フランス、エクス=マルセイユ大学の古人類学者シルヴァナ・コンデミ氏によれば、デニソワ人がアジア出身で、今回の頭蓋骨と同じ時期に存在していたことを考えれば、ドラゴン人がじつはデニソワ人である可能性はかなり高いという。

 スペイン国立自然科学博物館の古生物学者アントニオ・ロサス氏もこれに同意する。彼の意見では、今回の研究は、頭蓋骨に見られる容貌の特徴を重視しすぎているという。

 そうした形態学的な特徴は、共通祖先から受け継いだ原始的な特徴である可能性がある。そのためホモ・ロンギとされる頭蓋骨が、じつは現生人類分岐群かネアンデルタール分岐群のいずれかに属していたとしてもおかしくはないのだそうだ。・議論の決着には完全な標本やゲノムが必要
 なお、ストリンガー氏らもデニソワ人である可能性は重々承知しているようだ。広がった歯根を持つかなり大きな大臼歯、あるいは夏河で発見されたアゴ骨との系統発生学的な近縁関係などから考えると、デニソワ人である可能性もまた否定できないからだ。

 それでも、デニソワ人の完全な頭蓋骨や骨格、さらには完全なゲノムが見つかるまでは、すべて可能性の話でしかなく、確実な答えを出すことはできないとのことだ。

References:Ancient skull from China could be new human species, Dragon Man | Natural History Museum / New human species 'Dragon man' may be our closest relative | Live Science / written by konohazuku / edited by parumo
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