20年間木に閉じ込もったままミイラとなった犬、「スタッキー」の物語(アメリカ)※ミイラ映像あり


木に閉じ込められたままミイラ化した犬の物語/iStock ※画像はイメージです
アメリカのジョージア州にあるサザン・フォレストワールド博物館に、犬のミイラが樫の木の中に入った状態で展示されてある。
この犬は1960年頃から約20年もの間、木の”うろ”(中空となっている幹の部分)に挟まったままだったのを、伐採業者に発見されたのだ。
犬はおそらく猟犬で、何かの小動物を追いかけて木の根元から入り込み、うろに閉じ込められて息絶えたものとみられている。
その後木のタンニン成分が防腐剤的役割を果たしたことで完全な状態でミイラ化したと推測されている。『allthatsinteresting.com』などが伝えた。
Stuckie the Mummified Dog | Travel Tales・木のうろでミイラ化した犬が20年後に発見
林業に従事する人々は、伐採時に鳥の巣や樹上のリスなど、木に暮らす多くの生物を目にすることに慣れている。
しかし、アメリカのジョージア州南部にある木材伐採業者クラフト・コーポレーションは、ある1本の木の伐採時に、衝撃的な発見をした。
時は1980年に遡るが、当時8.5メートルほどの樫の木を伐採し、その上部を輸送用トラックに運んだ業者メンバーは、何気なくうろ(中空となっている幹)を覗き込んだ。すると、完全にミイラ化した犬が入っていたのだ。
その後の専門家の調べで、犬は1960年頃から木のうろに閉じ込められていたことが判明した。・猟犬だった犬、リスを追いかけて出られなくなった?
今からおよそ60年も前の出来事であり、調査は憶測でしかない。しかし、このミイラ化した犬が持ち込まれた同州サザン・フォレストワールド博物館の専門家は、次のように話している。
おそらく犬は猟犬の1種で、リスか何かの小動物を追いかけて木の根元からうろに入り込んだのでしょう。しかし、20年の月日の間、犬はなぜ腐敗を免れたのだろうか。
ですが、幹の上に行けば行くほど中空部分は狭くなり、犬は向きを変えることができず死亡したようです。犬の脚の位置から、這い上がれるところまで這い上がったことが推測されます。
View this post on Instagram・樫の木のタンニン成分が防腐剤代わりにA post shared by All That's Interesting (@all_thats_interesting) on Nov 18, 2018 at 12:01pm PST
通常、野生で死んだ動物は腐敗し、他の採餌者に死骸を食べ尽くされる。しかし、犬は20年もの間、いわば綺麗な状態でミイラ化していた。
専門家によると、犬は木のうろの中、しかも根元から高い位置で死んだため、他の動物が臭いを嗅ぎつけられず、死骸に到達する可能性が低かったという見解が示されたという。
また、樫の木にはタンニン成分が多く含まれており、木の内側からタンニン成分が犬の中に浸透し、水分を吸収して乾燥過程を促したと同時に、根元から木に吸い込まれた空気が一種の真空効果を生み出しうろの中を低湿度に保ったことで、微生物の活動が抑えられ腐食を防いだのではないかと推測されている。
現在、犬はStuck(はまる)の言葉になぞらえて、Stuckie(スタッキー)と名付けられ、サザン・フォレストワールド博物館に木の幹に入った状態で展示されている。

image credit:Forgotten Georgia/Facebook
スタッキーが展示されるようになってから、この博物館にはミイラ化した犬を一目見ようと、多くの観光客が訪れるようになったそうだ。
歯を剥きだしにしたままミイラ化したその表情からは、うろに閉じ込められて出られなくなってしまった犬が、生き残るために必死に闘うも、無念の最期を遂げなけれなならなかったことが容易に想像できる。
およそ60年も前に起こった悲しい犬の物語を知った人々からは、「もう木の中から出してあげてほしい」「あまりに悲しすぎる」「飼い主は探さなかったんだろうか」「最期は相当辛かったと思う。気の毒でならない」「埋めるなりしてちゃんとお墓に入れてあげて」といったスタッキーを悼む声が多く寄せられている。
written by Scarlet / edited by parumo