渡辺みり愛、桜井玲香の個人PVに描かれた「霊魂」が示すものとは?【乃木坂46「個人PVという実験場」第20回2/5 (2/3ページ)

日刊大衆

 やがて帰宅してきた姉を促し、二人でどこへともなく出かける。かつて幼い渡辺の手を引いて歩く母が手にしていた赤い傘を、今度は渡辺自身が差しながら近所の路地を歩む。並んで歩きながら二人が語らうのも、やはり母と過ごした雨の日の出来事についてである。雨の中で散歩する家族の姿を象徴的な画として、このショートドラマは亡き母の記憶と交信する姉妹の姿が主役になっているようだ。

 しかし、日光が町を照らして雨が降り止んだことを示すカットと同時に、この二人の他愛ないコミュニケーションのもつ意味が明らかになる。放り出された赤い傘と、ただ一人残されて佇む姉の後ろ姿。亡き母の記憶を姉と語らっていた渡辺もまた、移ろう天気と同様に儚く、姉の前から姿を消してしまう。さっきまで隣にいた渡辺に対して投げかけられる悪態まじりの姉の言葉は、今ここに存在しない者に向けられた愛おしさの表現である。

 すでにこの世のものでなくなった人を霊魂として現前させ、むしろコミカルに描くこともまた、当人に対する愛着のあらわれであり、また人間の生にどうにか希望を見出そうとするすべでもある。そうしたコメディに振り切った個人PVが、17枚目シングル『インフルエンサー』に収録されている桜井玲香の作品「こわい」(監督:泉田岳)である。

■桜井玲香の「こわい」

https://www.youtube.com/watch?v=c8-1sjnUDRc
(※桜井玲香個人PV「こわい」予告編)

 とあるコインランドリーで、清掃スタッフの男性から唐突に「霊に取り憑かれている」と告げられる若者。若者の背後に立つのは、彼に対して怒りを覚えているらしい「霊」としての桜井。

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