藤本タツキ“新作読切”1日で300万PV! 同業者が嫉妬する衝撃作が伝えたメッセージ (2/3ページ)
また、『代紋TAKE2』の渡辺潤は《気軽にノーガードで読んでしまい一瞬、漫画家辞めようと思ってしまった》《いるのよ…天才って》と賛辞を送っている。他にも『それでも町は廻っている』の石黒正数や『ろくでなしBLUES』の森田まさのり、『ブラック・ラグーン』の広江礼威など、同作に言及している漫画家は数えきれない。
さらに漫画をめぐる物語でありつつも、クリエイター全般に刺さる物語だったようだ。アーティストの村上隆や奈良美智、哲学者の東浩紀、詩人・小説家の最果タヒなど、さまざまなジャンルで称賛の声があがっている。
テクニックだけではない作品の情念あらゆるページで卓越した漫画テクニックが用いられているが、もちろんそれだけで人が感動するわけではない。同作が衝撃を与えたのは、どこか迫力すら感じさせる「テーマとの向き合い方」だった。
直接的には言及されていないものの、同作は2019年7月18日に発生した「京都アニメーション放火殺人事件」を連想させる内容となっている。作品の公開日が7月19日だったことから、おそらくは意識的にこの事件と向き合うことを目指した作品だったのだろう。
多くの犠牲者を出した事件をめぐり、誰もがその凄惨すぎる有り様を前にして口を閉ざしてきた。それから約2年を経て、今一度「いかにして事件と向き合うのか」と、クリエイターの視点からどこまでも真摯に掘り下げることが藤本の意志だったのではないだろうか。
この点に関して、『ちはやふる』作者の末次由紀は《素晴らしかった。全ページ横たわるのは執念》《ノンフィクションはいつも私たちを殴ってくるけど、フィクションに繰り返し繰り返し救われる。描いていかなきゃ》と言及。作品を通して強いメッセージを受け取ったことを明かしていた。
素晴らしかった。全ページ横たわるのは執念。出会わなくても進む未来はそんなに変わらなかったかもしれないという描写が、運命の強さであり希望なのではないか。ノンフィクションはいつも私たちを殴ってくるけど、フィクションに繰り返し繰り返し救われる。描いていかなきゃ。