医療も自分も守る 現役医師が説く「患者力」とは(1) (3/3ページ)
永井:本当に具合が悪くて、苦しくて担ぎ込まれてきたような方は客観的ではいられないでしょうし、命にかかわる病気を宣告されても客観性を失わずにいるのは難しいです。そういう時は、医療者側が情報の伝え方やサポートの仕方について配慮しなければなりません。
それ以外の日常的な病気で医療機関にかかるときは、医療者に対して感情的にならず、客観的にふるまいましょう、ということですね。
――医療者に対して自分の状況を説明し、医療者の話を傾聴するという「対話する力」は、社会人であれば誰もが持っているように思いましたが、実際に臨床の場にいる方からするとまた別の感想をお持ちでしょうか?
永井:これは、病院という場の特殊性もあると思います。どんな状況であってもしっかりとコミュニケーションがとれる、人間力を備えた方もいらっしゃいますが、感情が前面に出てしまい、適切なコミュニケーションが取れない方、「病院が全部なんとかしてくれる」と考えて、よくならないとクレームをつける方もいらっしゃいます。
――医療者とのコミュニケーションの際に、自分の状態を正確に伝えるコツのようなものはありますか?
永井:「事実」と「自分の思いや感情」を分けて説明することが大切です。どこかが痛むなら、まずは「どんな時にどれくらい痛むのか」という症状(事実)を順序だてて説明したうえで、自分の思うところや心配していること、「こういう病気じゃないか」という自分の解釈を伝える、という。
――患者自身の解釈が医療者の参考になることもあるのですか?
永井:あります。もちろん、見当違いだったというケースもたくさんあるのですが、そうであったとしても、患者さん自身の解釈はご本人の不安と紐づいているわけですから、見当違いだったとわかれば患者さんの不安が一つ解消されますよね。病気でもケガでも、患者さん自身の解釈を聞くのを嫌がる医師はまれにいるのですが、私はそういったことにも耳を傾けるべきだと考えています。
(後編につづく)