医療も自分も守る 現役医師が説く「患者力」とは(2) (2/3ページ)
医師側はきちんと説明したつもりでも、患者さんからしたら難しくて理解できず「わからないからお任せします」というパターンも多いので。
だから、「自己責任力」とは書いていますが、医療者側の伝える努力も必要です。患者さんが理解できていないようなら、わからないなりにも大事なところは押さえられるように噛み砕いてもう一度説明して、そのうえで治療を選択してもらったり、あるいは任せてもらったり、という努力をすることで患者さんとの信頼関係ができていきます。それで万が一治療がうまくいかなかったとしても、患者さんも納得するでしょうし、「ここで診てもらってよかった」と思っていただけるのではないかと思っています。
――「生きる力・死ぬ力」のところで「医療はあなたが生きるお手伝いをするだけ」とありました。このサブタイトルの意味について教えていただければと思います。
永井:医療の現場ではスペシャリストが様々なスキルを提供できます。それは上手に利用していただきたいのですが、それは結局患者さんが生きる「お手伝い」にすぎません。生き方を決める主役は患者さん自身ということです。
――永井さんは2014年に発覚した「群馬大学病院腹腔鏡手術後8人死亡事故」の際、医療安全管理部長として、遺族の方々とのやりとりも含めた事後対応に取り組んだ経験をお持ちです。これは永井さんが以前からコンフリクトマネジメントを学んでいたことが決め手になったとお聞きしましたが、永井さんがコンフリクトマネジメントを学ぼうと思ったのはなぜですか?
永井:私は皮膚科医なのですが、群馬大学病院にいた頃、点滴が漏れてその部分が潰瘍になってしまったりなど、他の診療科の治療で皮膚のトラブルが出た患者さんがこちらに回ってくることが多かったんです。そういう時、患者さんは病院側のミスで傷つけられたわけですから、きっと不満に思っているだろうと想像がつくじゃないですか。だけど、意外と医師は気にしないんですよ。その皮膚トラブルの原因を作った診療科の医師も「治療しといて」みたいな感じで。