気鋭の映像クリエイター中島望監督が描く乃木坂46「個人PV」の世界 (2/2ページ)

日刊大衆

 たとえば、ドラマ作家としての中島の繊細な手つきは、乃木坂46の13枚目シングル『今、話したい誰かがいる』に収録された新内眞衣の個人PV「世界は夜回る」にうかがうことができる。

https://www.youtube.com/watch?v=jDqhpAB6YFk
(※新内眞衣個人PV「世界は夜回る」予告編)

■新内眞衣の「世界は夜回る」

 かつて人から聞いた「世の中の大事なことは夜に起こっている」という言葉に漠然と影響されるように、いつしか夜型の生活を送り、夜中に都会をふらついては朝方に家に帰り着く生活を続ける主人公(新内)。「大事なこと」を見逃さないように昼夜逆転の生活を送る彼女だが、その表情は常に物憂げである。

 彼女が家に帰り着いて他愛のない時間を過ごし、眠りにつくまでの昼間の時間は、なるほど「大事なこと」など起こっていないかのように退屈で無為に思える。だからこそ彼女はさしたる目的を見いだせないままに、何かが起こるらしい夜に備えて眠りにつく。

 しかしまた、本作でごく視覚的に表現されるように、彼女が眠っている昼間のあいだにも確実に、世界になにがしかの変化は起こっている。目覚めた彼女は、ただその残骸を力なく目にするばかりである。その変化自体はさして重大なものではないが、おそらく彼女が何かを期待して出向く夜の都会で起きていることもまた、同じようにさして重大ではない。

 それでも彼女は夜に向けて準備し、気だるく都会に向かって歩いてゆく。「“おはよう”と言えなくなってしまった」と自己言及する彼女の生活に、特に何かが待っているようにはみえない。表面的には、どこまでも何も起こらないとある一日が描写されて本作は幕を閉じる。

 これといった出来事も、大きな感情の起伏も描かないこの一篇のドラマはしかし、具体的なエピソードに依存しないゆえに却って、都市に生きる平凡で孤独な個人の憂鬱を普遍的に映している。抑制した表情で主人公を演じる新内の佇まいもまた確かな好相性をみせ、一歩間違えば方向性を見失いかねないこの静かなドラマを、バランスよく成立させている。

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