追悼・千葉真一「風来坊82年」全秘話と「コロナ死」直前肉声(3)柳生十兵衛の生まれ変わり

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追悼・千葉真一「風来坊82年」全秘話と「コロナ死」直前肉声(3)柳生十兵衛の生まれ変わり

「鬼龍院花子の生涯」や「極道の妻たち」で知られる脚本家・高田宏治氏は、千葉の代表作を数多く手がけている。

「最後に会ったのは5年前、僕の単行本での対談でね。千葉はずっと『こんな企画やりたい、あれもこれも』って言うんだけど、それを実現させるには金がいくらあっても足りないよ。ああいう映画青年の感じは変わっていなかったね」

 日本映画としてアメリカで初めて興行収入が100万ドルを突破した「激突!殺人拳」(74年、東映)も、高田氏のシナリオだ。

「あれほど体ひとつで成功した役者は、世界にも例がない。ブルース・リーの世界的な大ヒットを受けての千葉への当て書きだったけど、そこから千葉をイメージした役をたくさん書いたよ」

 特に松方弘樹と千葉のコンビが光った「沖縄やくざ戦争」(76年、東映)は、最高にかっこいい千葉が描けたと高田氏は振り返る。

「千葉と松方と3人でよくゴルフも行ったし、カラオケもやった。千葉は負けず嫌いの性格だから、カラオケでもマイクを持ったら放さないんだ」

 千葉が「自分は柳生十兵衛の生まれ変わり」と本気で言っているのを、何度も聞いている。そして願いが結実したのが、千葉の「裏柳生」という原案が映画化された「柳生一族の陰謀」だった。監督の深作欣二は、千葉に真っ先に伝えた。

「あれ、やるよ。お前さんが柳生十兵衛だから」

 東映12年ぶりの時代劇は興収30億円を超す大ヒットとなる。さらに、奇想天外な「魔界転生」(81年、東映)でも十兵衛を演じ、柳生但馬守宗矩役の若山富三郎と「父子対決」に挑む。千葉は12年の週刊アサヒ芸能のインタビューで、生涯で最も緊張した「殺陣」だったと回想している。

「燃えさかる炎の中で、渾身の集中力で臨みましたよ。あと3回はテストをやりたかったけど、若山さんはあっさり『真一、やろうか』で始まったから、本当に気が抜けなかった」

 CGなどなく、セットが燃えて次々と崩れる状況での名場面であった。

 近年の千葉は、様々な金銭トラブルから怪しい筋の出資話にさんざん利用されていた。一時はマルチ商法絡みの広告塔をやって、周囲をやきもきさせている。

 また2番目の妻に仕送りをしなかったことから、真剣佑との亀裂も決定的なものになった。

 あらゆる意味で「最後の役者バカ」を貫いたのかもしれない。合掌──。

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