ノーベル賞候補を中国の大学がスカウト、「日本の頭脳」漏洩が止まらないワケ (2/2ページ)

Asagei Biz

というのも、かねてから科学技術強国を目指す中国は、海外から優秀な人材を集める「千人計画」プロジェクトが進行中で、前出のジャーナリストによれば、

「近年、日本からも中国の大学などの機関で働くようスカウトされる事例が相次いでいて、昨年に大手新聞が反対キャンペーを張り話題になりました。ただ、『千日計画』はある意味きっかけであって、問題の根っこには日本の研究費の少なさや科学者の低い待遇等、根深い問題がある。つまり、彼らも好んで千人計画に参加しているわけではなく、資金不足などから、やむなく中国に流れているというのが実情」なのだという。

 では、実際に日本と中国とで、科学者が置かれる環境はどのくらい違うのだろうか。

中国では基本、大学と地方政府が共同で研究費を用意するため、資金も豊富で給与もある程度高額で保障されています。しかも、中国では給与のほかに、たとえば研究資金として3年間に3000万円が提供される、といったケースはよくある話。一方、日本ではたとえ米国で博士号を取っても、帰国後には仕事が見つからず、研究室も用意してもらえないという研究者は少なくない。研究者にとって研究資金は必要不可欠ですからね。中国に行けば資金を心配することなく研究に没頭できるとなれば、そちらに流れるのは自然の理でしょう。ですから問題は、日本における研究環境にあるということです」(前出・ジャーナリスト)

 科学の世界に限らず、どんな業界でも一番難しいとされるのが、人材確保だ。日本の未来は科学技術の発展抜きには語れない。そのことを政府は再認識すべきだろう。

(灯倫太郎)

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