ドキュメンタリー映画『スズさん 〜昭和の家事と家族の物語〜』公開決定と予告編解禁、小林聡美さんからのコメント到着のご案内 (2/5ページ)
スズさんの長女で「昭和のくらし博物館」館長でもある小泉和子さんの証言と、スズさんの仕事ぶりを記録した映像は、その物語を圧倒的な説得力で私たちに伝えてくれます。スズさんの立ち働く姿を見ると「人間って凄い」という言葉が湧いてきます。いろいろなことが便利になって、みんな涼しい顔で暮らしているけれど、本当は、私たちはこんなことだってあんなことだってできるのに、と眠らせている能力に申し訳ない気持ちさえしてきます。今の暮らしから見れば、手間も時間もかかる家事は、スズさんにとって「生きている」という喜びだったのでは、と和子さんは語っています。大変な戦争や天災から生き延びた命を、暮らしのために精一杯生かしたスズさん。スズさんの人生は、もしかしたら取り立てて特別なものではないかもしれません。でも、スズさんの体験や家事の技術は、もはや紛れもなく特別なものとして記録され、未来の私たちの暮らしに何かを語りかけてくれている気がします。
■小泉和子さん(出演者/生活史研究家)
私は30年程前に今は亡き母をモデルにして「昭和の家事」という記録映画を撮りました。母の時代、誰もが当たり前にやっていた家事がわからなくなってしまうと考えたからです。それを観て下さった大墻敦さんと記録映画保存センターの方たちが、あらたに視点を変えて、戦時下を生きた家族の物語として作られたのが「スズさん」です。防空演習、学童集団疎開、建物強制疎開、横濱大空襲、再疎開、買い出し等々と、戦争の災禍をしっかり体験させられたわが家を病弱な父に代わって支えた母。昭和時代、多くの女性たちを支配していた戦争と家事を肌身に感じさせる映画です。
■大墻敦監督
私が初めて、昭和のくらし博物館が製作した「昭和の家事」の映像を視聴したのは、2020年の初めのことでした。洗濯、裁縫、お盆、おせちやおはぎ、お手玉をつくるなどの家事を記録した学術的な映像から、昭和40年代に少年時代を東京で過ごした私に懐かしさが伝わってきました。横浜大空襲と家事の記録を軸に、スズさんの人生を映画化できないか、と考え始めたのは2020年の梅雨時のことでした。