生き残るのは「ナンバー1」か「オンリー1」か 生物たちの生存戦略 (2/2ページ)

新刊JP

ゾウリムシとミドリゾウリムシは生き方が違っていた。ゾウリムシは水槽の上の方で浮いている大腸菌をエサにし、ミドリゾウリムシは水槽の底の方で酵母菌をエサにしていた。つまり、水槽と上の方と底の方でそれぞれ「ナンバー1」の存在だったのだ。

この「ナンバー1」を分け合って共存することを、生物学では「棲み分け」という。自然界には分かっているだけでも175万種の生物が存在しているといわれるが、それは少なくとも、175万通りのナンバー1があるということになる。稲垣さんはこう述べる。

「ナンバー1のポジションを持っているということは、オンリー1の特徴を持っているということになります」(p.102より)

■どんな人にも自分の力を発揮できる場所がある

稲垣さんは地球上に棲むすべての生き物は、ナンバー1になれるものを持っていると述べる。このナンバー1になれるオンリー1のポジションを生態学では「ニッチ」と呼ぶという。

生物にはそれぞれ各々が持っている力を発揮できる「ニッチ」がある。そして、それは私たち人間それぞれにも当てはまる。

もし、自分が魚だとしたら、水中をすいすい泳ぐことができるが、陸上を歩くことはできない。大切なのは水を探すことだ。また、自分がダチョウだったら、誰よりも強い脚力で速く走ることができるが、他の鳥のように空は飛ぼうとすると、飛べないダメな鳥になってしまう。ダチョウは陸の上でこそ、力を発揮できる鳥なのだ。

自分がダメな存在だと思うこともあるだろう。でも、稲垣さんはこう述べる。もしかしたら、「陸の上でもがいている魚」「飛ぶことに憧れるダチョウ」になってはいないだろうか、と。どんな人にも自分の力を発揮し、輝ける場所がある。持っている力を発揮できるニッチを探すことが大切だと、稲垣さんはエールをおくるのである。

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本書では「個性」「ふつう」「区別」「多様性」「らしさ」「勝つ」「強さ」「大切なもの」「生きる」という9つのトピックをもとに、生き物たちの生存戦略がつづられている。そしてそれは私たち人間も学ぶべき部分がたくさんあることが分かる。

どうやって生きていいのか分からない。自分には秀でるものが何もない。そんな悩みに答えてくれるのは、意外な生き物かもしれない。

(新刊JP編集部)

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