思ったより低かった?ミケランジェロの身長は約157センチ。残された履物から推測

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思ったより低かった?ミケランジェロの身長は約157センチ。残された履物から推測
思ったより低かった?ミケランジェロの身長は約157センチ。残された履物から推測

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 14世紀にイタリア、フィレンツェから始まり、ヨーロッパに広まっていったルネッサンス時代、その多才さから「万能の人」と呼ばれる、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ・ブオナローティなどが、芸術の世界で驚くような革命的作品を生み出していった。

 『ダビデ像』や『アダムの創造』などの大作で知られるミケランジェロだが、最新の履物研究によってその身長が割り出されたそうだ。

 『Anthropologie journal』秋号に発表された最新研究結果によると、その身長は157センチほどだという。これはミケランジェロが履いていたとされる3足の履物に基づいて算出されたものだ。

 これまで考えられていたより小柄だったそうで、20世紀のヨーロッパ人男性の平均よりもかなり低いという。

・ミケランジェロが履いていたとされる靴で身長を割り出す
 ミケランジェロの身長の決め手になった履物は、一組の革靴と片方だけの革のスリッパだった。

 これらは、長いことイタリア、フィレンツェにあるカーサ・ブオナローティ美術館に展示されているもので、スリッパの片方は、1873年に盗まれて行方不明になってしまったと言われている。

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ミケランジェロの身長を科学的に推測するために使われた3足の履物 / image credit:Casa Museo Buonarroti / Anthropologie

 ミケランジェロの身長を割り出すために、シチリアにある法医人類学・古病理学・生物考古学研究センター(FAPAB)の研究者が、3足の履物をスキャナーにかけて調べた。・ミケランジェロの身長は推定157センチ
 法医人類学者のエレーナ・ヴァロット、古病理学者のフランチェスコ・ガラッシーら、オールイタリア人研究者たちは、ミケランジェロの身長は"ごく標準的"だと考えていた。

 ところが、15~16世紀の「万能の人」の身長は、20世紀のヨーロッパ人男性の平均よりもかなり低いことがわかった。

 調査の結果、ミケランジェロの身長は157センチと推測されたのだ。

 ミケランジェロと同時代人のイタリアの画家で作家、歴史家のジョルジョ・ヴァザーリ(1511~1574)は、『The Lives of the Most Excellent Painters, Sculptors, and Architects』(1550)の中で彼のことをこう書いている。
身長は中くらいで、肩幅は広いが、体のほかの部分のバランスはよくとれている。痩身で筋肉質な、とても健康的な男である


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イタリアの画家ジャコピーノ・デル・コンテ(1513~1598)による、1540年頃のミケランジェロの肖像。この肖像画からは、ミケランジェロの身長はわからない / image credit:Jacopino del Conte / Public domain・今回の研究にどれくらいの科学的な信憑性があるのか?
 この研究のおもしろいところは、履物のサイズを持ち主の身長やその他身体的な特徴と正確に結びつけようという試みにある。

 この靴が間違いなく持ち主が履いていたものだという前提が絶対条件だが、この前提には、「これらの靴やスリッパはミケランジェロのものではないかもしれない」という但し書きがついてまわる。

 もしかしたら、彼の親戚か子孫、あるいは同じに家の中にいた別の誰かがこれらを履いていたのかもしれない。と、科学者たちは、発表した論文で疑問を呈している。

 誰が実際にこの履物を履いていたかを証明するDNAが存在しない以上、これくらい正直にこの研究の欠点をあらかじめ断っておく必要がある。

 この研究のもうひとつの歴史的、証拠的な限界は、ミケランジェロが晩年、非常に健康状態が悪かったという事実だ。彼は、鉛中毒と痛風に苦しみ、重度の関節炎を患っていたと言われている。

 ミケランジェロの遺体が、一度も発掘、分析されていないということも、この研究の根拠をさらに弱める一因だ。

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ミケランジェロが1501年から制作を開始し、1504年9月8日に公開した有名な作品「ダビデ像」は巨大で高さ5.17メートルもある。ミケランジェロはこの巨大な作品を創るために梯子を使ったに違いないと思わせられる。 /iphoto by Pixabay・ミケランジェロの生涯と作品
 1475年から1564年まで生きたミケランジェロは、同世代の先輩で、ライバルでもあったレオナルド・ダ・ヴィンチとよく比較される。

 だが、ミケランジェロが、この時代最高の芸術家、史上最高のアーティストであることに疑問の余地はない。彼の桁外れな功績は、建築、彫刻、詩、絵画など多岐にわたる。

 1440年頃にグーテンベルグが発明した印刷機のおかげで、ほかのどの芸術家よりも、ミケランジェロの作品は、注意深く記録され、保存され、複製されてきた。

 建築家としてのミケランジェロは、バチカンの壮麗なサン・ピエトロ寺院の西端部とドームの建設を任された。この寺院に残した天才的な足跡だけでも、ミケランジェロはルネッサンス建築最高の名誉の称号を得た。ここは現在でもカトリック聖堂の聖地とされている。

 ミケランジェロは、バチカン市国のシスティーナ礼拝堂の名声を不動のものにした立役者でもある。システィーナ礼拝堂天井のフレスコ画や、祭壇の後ろの「最後の審判」のフレスコ画は、いずれもミケランジェロの作品だ。

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ミケランジェロ作「最後の審判」のフレスコ画 / image credit:public domain/wikimedia

 彼の代表作である「ダビデ像」は、世界的に有名な古典的裸体彫刻のひとつだ。この像は、巨大な長方形の大理石の塊からすべて手作業で刻まれた、解剖学的に完璧な人間の像なのだ。

 裕福で権力をもつパトロンとグーテンベルグの印刷機の威力のおかげで、ルネッサンスはヨーロッパ史の中でもっとも幅広く記録が残された時代だった。

 今回の履物研究によって、ミケランジェロの身長は157センチだとされたが、そんな小ささは、彼の精神や手腕の計り知れない影響力にはまるで関係ないのかもしれない。

References:Michelangelo’s Short Stature Revealed By His Shoes | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by parumo


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