人の記憶がいかに曖昧なものかがわかる、偽の記憶を植え付けられ有罪となった男の物語 (2/4ページ)
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・違和感のある供述にもかかわらず裁判は進む
エリカとポールの話は、現実と食い違うこともあった。
たとえばポールは、ジム・ラビー並びにレイ・リッシュという共犯者がいたことを自供している。しかしラビーが儀式に参加していたとされる日、彼はアメリカ国外におり、参加できたはずがなかった。
またエリカと妹のジュリーは、傷だらけだったと主張しているが、身体検査でそれは確認できていない。さらに埋めたとされる生贄の遺体も発見されていない。
それでも裁判は進んでいった。
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・偽の記憶である可能性を疑い、社会学者が調査
これを疑って調査に乗り出したのが、社会学者のリチャード・オフシェだ。
ポールを訪ねたオフシェは、彼が取調官によって暗示にかけられ、偽の記憶を植え付けられていると考えるようになった。
なぜなら、取調べの最中、ポールはほとんど眠ることを許されず、白昼夢を本物の記憶と思い込んでいる節があったのだ。
この仮説を証明するために、オフシェはある実験を行った。作り話をポールに話して、彼がそれを自分の記憶と思い込むかどうか試してみたのだ。
オフシェは警察の立ち会いのもと、ポールにこう語りかけた。
「息子さんと娘さんから聞いたところによると、あなたは自分の目の前で彼らに性交させたそうですね。覚えていますか?」
当初、イングラムはその話を否定した。しかし詳しい場所や日時を説明されるうちに、だんだんと”思い出し”始めた。