関西「1万円ニセ札工場」にリアル潜入(4)造幣局の中に内通者がいた (3/3ページ)
ニセ札の束を封筒に分ける作業はいくらでもあるようで、ここもまた、一種の製造工場と言えようか。
換金作業で全国を飛び回る彼らの移動は、ほとんどがバン。南は沖縄から北は北海道まで全国をまたぐ。
「でもね、中国人とバレると足が付くから、僕らは韓国人マフィアのフリをするんですよ。彼らは『ザジズゼゾ』の発音がヘタだから、僕らは彼らの喋り方のマネをしています。例えば、高齢者がいるようなタバコ屋でニセ札がバレかけることもあるんです。そんな時には、韓国言葉を使いますね。流暢に話さず『チュミマセンガ‥‥』とか『カムサハムニダ』とかね。意外に、みんな役者ですよ」
そこからも私生活やファミリーのことなどを含め様々な話をし、十分に打ち解け合ったと思った。しかし筆者は気を抜きすぎたのか、ニセ札を見ながら劉氏に軽口を叩いて地雷を踏んでしまう。
「いやぁ凄い! 本当に精巧ですね。僕にこれ、1枚頂けませんか」
「殺すぞ、お前!」
今までは冗談交じりに対応してくれていた劉氏の眼差しが一瞬にして変わった。人を殺めたことがあるような目だ。そのまま筆者は腰砕けになったが、幹部らしき男に両肩を抱えられ、外に連れ出された。
その後はまた袋を被せられ、バンに放り込まれることになる。ひょっとして本当に殺されるのでは‥‥。そう思ったが、無事に最寄りの駅で降ろされた。ひょっとしてこの駅でもニセ札が使われたのでは─。
24年には、渋沢栄一が印刷された新紙幣が印刷される。偽造防止に最先端技術が導入されているというが、その努力も協力者が嘲笑ってしまうのだろうか。
(フリーライター・丸野裕行)
*「週刊アサヒ芸能」9月23日号より
【写真ギャラリー】大きなサイズで見る