ならば連れてきなさい。学生の赤ちゃんを抱っこしながら授業する大学教授

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アメリカの大学に在学中、若くして母親となった女性は、出産と育児の為にしばらく学校を休んでいたが、再び大学に戻ろうとした。
ところが、授業中、赤ちゃんの面倒を見てくれるベビーシッターが見つからず、教授に「授業に参加できない」と打ち明けた。
すると教授は「ならばここに連れてくればいい」と生徒に伝え、女性は息子を連れて講義に出席することに。
自身がベビーシッターとなって赤ちゃんを抱っこしたまま講義を続けるやさしい教授の動画がシェアされると、「アメリカもまだまだ捨てたもんじゃないな」と多くのユーザーから称賛の声が寄せられた。
・在学中に子供を出産した学生
アメリカ・ペンシルベニア州にあるリンカーン大学で健康科学部門を専攻していたイマニ・ラマーさんは、当時21歳の在学中に出産を経験し、1児の母となった。
父親にちなんで名付けた息子のクリストファー・マーフィー君は、早産で生まれ、NICU(新生児集中治療室)で数か月を過ごさなければならなかった。
その間、イマニさんは、毎日病院を訪れ息子のそばに寄り添い続けた。・授業に出たくても出られない学生に教授が一言
出産中に学期を休んでいたイマニさんは、息子が退院した後、しばらく育児を続け、再び大学に戻ろうとした。
ところが、授業を受けている間に息子の面倒をみてくれるベビーシッターが見つからなかった。
「このままでは、大学で授業を受けるなんて不可能だ」と、イマニさんはアキール・ディックス教授に「授業を欠席させてほしい」と直接会って伝えたという。
しかし、ディックス教授はイマニさんの申し出に対し、「NO」と返した。
ディックス教授に、ベビーシッターが見つからないから授業に行けないと伝えたのに、NOと言われて困惑しました。ディックス教授はイマニさんに「ならば子供を連れてくればいいじゃない」と返した。
だって、誰にも子供を預けられないなら大学に出席するのは無理ってことだし、でも欠席できないってどういうこと?って思いました。(イマニさん)
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ベビーシッターが見つからないから、大学の授業に出られないという選択肢は、私の中には存在していませんでした。この言葉を聞いたイマニさんは、驚いた。
学生が困っていて、私の助けを必要としているのなら、いつでも手を差し伸べる気持ちでいます。だから、クラスに連れておいでと促したのです。誰も子守ができないのなら、私がしてあげようと。(ディックス教授)
教授はそう言うが、まだ幼い子供をクラスに連れて行ったりしたら、他の学生に迷惑をかけることになるのではないか?私自身も授業に集中できないのではないか?そんな不安がイマニさんの心に広がった。
だが、幸運にもそれはイマニさんの杞憂に終わったようだ。
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HBCU professor goes viral for holding student's baby during class・学生の息子を抱っこして講義を続けた大学教授
当日、イマニさんは息子を連れてクラスでの授業に参加した。すると、予想以上に集中でき、久しぶりにノートにペンを懸命に走らせることができた。
目の前には、息子を抱っこしながら講義を続けているディックス教授の姿が。息子もおとなしくしており、他の学生も好意的に受け止めてくれた。[画像を見る] その後、無事に大学を卒業し、現在23歳になったイマニさんは、当時の恩師への深い感謝の気持ちを、後のメディアの取材でこのように語った。
私は、もともとHBCUに行きたいと考えていたこともあって、リンカーン大学を選びました。イマニさんの息子は現在2歳になり、すくすく元気に成長中だ。
出産後は、本当に大変でした。
でも、ディックス教授がベビーシッターをしてくれたおかげで、私は再び授業に参加することができたのです。
こんなことが実現するとは思ってもいなかったし、私のことを思い、手を差し伸べてくれる誰かがそこにいると思えることは、とても大きな意味を持つのだと実感しました。
どれほど、ディックス教授に助けられたことか。本当に感謝しています。
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ディックス教授のクラスでのベビーシッターの様子を捉えた動画が拡散すると、多くのユーザーらから称賛の声が寄せられ、「アメリカもまだ捨てたもんじゃない」、「困っている人に自然に手を差し伸べることを学ぶことこそ教育である」などの声があがった。
written by Scarlet / edited by parumo
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