無事に生きていることが幸せ…子供の成長を祝う「七五三」の由来は?

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無事に生きていることが幸せ…子供の成長を祝う「七五三」の由来は?

短命がゆえのイベント「七五三」

子供の成長を祝って、その後の幸福を祈願するイベント「七五三」。今でこそ当たり前のように行われていますが、かつて子供の死亡率が高かった時代には切実な意味を持っていました。

弥生時代から室町時代までの日本人の平均寿命は三十歳ほどだったそうです。その後も織田信長が「人間五十年」と歌ったりしてますね。このように、かつての日本人は短命だったとされていますが、これは子供たちが幼いうちに亡くなるので平均値全体が下がっていたとも考えられます。

こうしたことを踏まえて想像してみると、平安時代から続いているとされる「七五三」は、かつては子を持つ親にとっては単なるイベントではなく、子供の無病息災を本気で神様に祈願する儀式だったのではないでしょうか。

今回は、この七五三というイベントの由来について説明します。

それぞれの儀式の由来

七五三は、かつては男児が三歳と五歳の時に、また女児が三歳と七歳の時に行うのが一般的でした。

それぞれの年齢を迎えた子供たちは、晴れ着で神社へ参拝して千歳飴を食べます。この「千歳飴」はおめでたい紅白模様で、なが~い飴を食べることで子供は「長く・粘り強く」成長するのだそうです。

三歳の時に行われる「髪置き」は武家の儀式に由来するものです。頭に、糸で作った「綿白髪」を載せて長寿を祈願します。昔は子供は髪を剃っていたので、髪を伸ばすことは大人の証でもありました。ここまで成長したら白髪になるまで長生きを……という願いが込められています。

五歳の時に男児が行う「袴着」は、平安時代に公家が行っていた風習だそうです。大人の証である袴を初めて履く儀式。興味深いことに、これはもともと男女ともに行われていましたが、江戸時代から男児のみの儀式になったそうです。

そして七歳で行う「帯解き」は、子供の着物を卒業して、大人向けの「本裁ち」を着る儀式です。これは七五三で最も大切とされる行事で、室町時代までは男女に関係なく九歳くらいで行われていました。今のように「七歳の女児限定」になったのは江戸時代のことです。

ところで、「平安時代に始まった年中行事」というと、なんとなく反射的に「中国から輸入されたものだろうか?」と考えてしまいますが、日本の七五三にあたる儀式は、中国では確認されていないとか。

しかし、細かな点は、外国から輸入された文化に由来を持つ部分も多いようです。

例えば、今は七五三の行事は十一月十五日に行うのが一般的ですが、この日付は、「二十八宿」という中国の星占いで最もよい日とされており、この日に歳祝いをする習慣は江戸時代に庶民の間に根付いたものです。

「七」と日本人

また、「七」「五」「三」は陰陽道で縁起がいいとされている数です。

ところで、「七」という数字を重んじる点については、これは日本人のDNAにすり込まれている感覚なのではないかな、という気もします。

例えば奈良時代の刑法である養老律では、七歳以下の子供は処罰しないことになっていました。また平安時代の末期から鎌倉時代にかけて、七歳以下は両親が亡くなっても喪に服す必要はないとされていました。逆に、七歳以下の子が亡くなっても親は喪に服さない習慣だったようです。

昔の日本では、七歳児までは特別扱いされていたことが分かります。

特別扱いと書くと大切にされていたかのようですが、それは弱い存在であるがゆえです。その裏返しとして、飢饉の時には弱い子供から「間引き」されていました。特別扱いというよりも、良くも悪くも人間として扱われていなかったと言えるかも知れません。

そういえば「七つまでは神のうち」という諺も、実際には近代以降に作られたものだそうですが、「七つまでは神のうちなんだよ」と言われると、なるほどと納得してしまうところがあります。

七歳までの子供は特別な存在なのだと考えるDNAが、きっと私たちの中にはあるのでしょう。七福神に七草がゆ、七不思議に七光り、七人の侍……。「七」は確かに神聖な数字のように感じられます。

冒頭でも書いた通り、今ではごく当たり前のように行われている七五三。しかしその由来を紐解いてみると、昔の人たちが我が子の命を大切にし、純粋に「無事に生きている」ことそのものに幸せを感じていたことが分かってきます。

参考資料
火田博文『本当は怖い日本のしきたり』(彩図社・2019年)
-人口統計資料集(2021)-

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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