俳優・津田寛治インタビュー、名バイプレイヤーの感じた行き詰まりと新境地とは? (2/2ページ)

日刊大衆

終戦を知らないまま、約30年間、フィリピンのルバング島で“秘密戦”の任務を遂行し続けた方です。

 演じるに当たって、彼のことを改めて調べたのですが、小野田寛郎という人は、高度経済成長期の日本に「大和魂」を持ち帰った人なんだと思いましたね。

 小野田さんが日本に帰ってきたとき、僕は小学4年生くらい。テレビのニュースで見てビックリした記憶があります。映画の中で、小野田さんを見つけた鈴木という青年が「僕はパンダと雪男、小野田さんを発見したかった」と言うんですけど、その感覚がすごく分かるんです。それくらい、衝撃的な出来事でした。

 撮影はカンボジアのジャングルで約4か月かけて行われました。アルチュール・アラリ監督とは、通訳を介してのコミュニケーションでしたが、通訳を担当してくれたのは、おそらくまだ30歳くらいの日本人男性。彼は“日本とフランスの映画文化をつなぐんだ!”という情熱にあふれていて、本当に素晴らしい人物でした。彼のおかげで、『ONODA 一万夜を越えて』という映画のクオリティは確実に上がったと思います。これも、ものすごく大きな“奇跡”ですよね。

 僕は今回、小野田寛郎を演じたことで、俳優としての新境地が開けたと感じています。だから今後、演じる役は、もっともっとブラッシュアップしていきたい。

 その結果、ひょっとしたら「津田寛治はヘタになったね」と言われるかもしれない。でも、それはそれで、すごくいいなと思うんですよ。その逆もあるかもしれないし、何か結果が見えるところまで演じ続けていきたいと思っています。

津田寛治(つだ・かんじ)
1965年、福井県出身。1993年に北野武監督の『ソナチネ』で映画デビュー。以降、数多くの映画、テレビドラマに出演。2002年には、森田芳光監督の映画『模倣犯』で第45回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞している。主な出演作として、映画『シンゴジラ』『山中静夫氏の尊厳死』、大河ドラマ青天を衝け』など。

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