坂口健太郎「亡くなった父との思い出」がつまった田無のもつ焼き店

日刊大衆

坂口健太郎
坂口健太郎

第93回 中華「正栄」&もつ焼き「だるまさん」

 アイドルだって飯を食う。10月いっぱいで終了したNHK連続テレビ小説おかえりモネ』。期間平均の世帯視聴率は16.2%と、前作『おちょやん』に比てやや振わなかったが、朝ドラにしては斬新な作りで、賛否両論喧しかった。

 滑り出しからしばらく、ヒロインがあまりにも陰キャなのがしんどく、「もどかしい」「イラつく」との意見もあったようだが、変わり者で不器用な医師、菅波健太朗を演じた坂口健太郎の存在が際立ち出してから、「俄然面白くなった」と評価もうなぎ上りになった。清原果耶演じる主人公、永浦百音の幼なじみ、「りょーちん」こと及川亮を演じた「King&Prince」の永瀬廉が見せた意外な演技力も後押ししたろうか。

 自分に輪をかけてぶきっちょな百音が気象予報士を目指すのを、菅波はよそよしく振る舞いながらも懸命にサポートする。そして、都度都度に吐くクールな名台詞は、Twitterで『#俺たちの菅波』と銘打たれて何度もトレンド上位入りしたほどだ。そんな坂口を「セカンドブレイク」と評する芸能ライターもいる。

■府中市生まれで育ちは西東京市

 坂口は19歳で雑誌『MEN'S NON-NO』(集英社)のモデルとなり、14年に23歳で俳優デビュー。そもそも16年のNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』では、高畑充希演じるヒロインの初恋の相手役となり、最初のブレイクを果たしている。すらっとした体躯のイケメンだが、柔らかな引きの芝居ができ、若手女優の相手役としては打ってつけ。同年公開の映画『今夜、ロマンス劇場で』では年上の綾瀬はるかとも共演した。

 そんな坂口、実は筆者と同郷なのだ。彼の生まれは府中市だが、育ったのは西東京市(しかも旧田無市)。筆者も2歳で移り住み、今なお暮らしている。だから、彼が出没したとされる店は、飲食店以外でも全部なじみ。それだけで親近感が湧いてしまうのだ。

 ちなみに西東京市はタレントの宝庫で、乙葉木村文乃きゃりーぱみゅぱみゅ・黒川芽以・清水美沙・田中美保・田中好子・多部未華子永野芽郁・中村由真・平井理央宮崎あおい矢沢心小栗有以AKB48)・岩本蓮加乃木坂46)…とアイドルや女優に限っても、出身者がこんなにいる。

 とはいえ女性上位で、坂口は男子のホープなのだ。他はロッテ監督の井口資仁(名誉市民)にサッカー元日本代表の李忠成ら、アスリートになら目立つ存在がいるのだが、芸能界ではパッとせず、歌手でギタリストの本田恭章に一時はアイドル的人気があったくらい。まぁ、秋元康先生も西東京育ちなんだが…。

■行きつけの店は…

 坂口の地元でのお気に入りは、聖地巡礼しているファンがブログなどで探訪記を書いてもおり、かなりはっきりしている。一つは田無市民公園横にある中華の「正栄」だ。さば煮定食なども出すので、むしろ定食屋と呼んでよく、実質本位のまさに(拙著のタイトルにもある)実用食堂。だいたい暖簾にはラーメンの横に「焼肉」って謳ってるし…。

 実はしばらく行っておらず、坂口のそこでの好みも直接店主に尋ねたわけではないが、焼肉の上にピーマン1個が2つにカットされドンと乗った、生卵付きのスタミナ定食らしい。奥正面の壁は大きな鏡になっており、「店の暖簾をくぐる若者の写真が掛けてある」「入口のほうにも同じ写真が飾ってある」とはさる食通のブログの記述。

 その若者が坂口なのだが、この人は彼の行きつけと知らず、たまたま来客にファンがいたので気づいたそうだ。実家のおよその住所も常連客とのやり取りでモロバレなんだが、そこはあえて秘しておく。

 つまり写真集に店でのショットが掲載されており、店名がバッチリわかるので、ファンが押し寄せていたようだ。ずいぶん前の記憶だが、何人かで同店を訪れた際、やはり焼肉定食が気になってしまい、単品で頼んでビールのあてにしたはずだ。

 生姜焼きと照り焼きの合いの子みたいなコッテリ系の焼肉で、付け合わせのポテサラには、さらにこれでもかとマヨネーズがかけてあり、口にした瞬間、こいつは若者大好きテイストだなと思った。

 ……とここまで書いて、食べログで同店のページを開くと、「閉店」となっている。先々週調べた際はこのクレジットはなかった。にしても、残念で仕方ない。肝心の坂口はどう思っているのか!?

■父親のひいきの店

 さてもう1軒はもつ焼き店の「だるまさん」。コロナ禍の影響もあったのか、昨年には田無駅の南口から北口に移転して、ずいぶん小綺麗になった。以前は3階建ての店の2階と3階を占めていたが、今は1階だけだが、間取りは広めだ。この店には昨夏、友人と田無で飲んだ際、つい懐かしくなって足を向けてみた。

 さすがに店に写真は飾っていないが、俳優デビューした年に亡くなった父親が贔屓にしており、「二人で食事をしているところを目撃した」、との情報はけっこう上がっているから確かだろう。坂口は家族愛が強く、デビュー後もしばらくは実家で暮らしており、一人暮らしするようになっても、ちょくちょく帰っていたようだ。Twitterには「坂口が同店でバイトしていた」との呟きも。

 幼い頃には心理的な距離があったが、モデルを始めた頃には父が良き相談相手となっていたらしい。初任給で父におごったら、「すごく戸惑っていた」と雑誌のインタビューで回想しているので、おそらくだるまさんで親子水入らず、差しつ差されつしたのではないか。ちょっとどころか、めっちゃいい話である。父と酌み交わした酒が、間違いなく坂口健太郎という役者に深みを与えている。

 かつてのだるまさんはもつ焼きのシロがおいしく、『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)にも登場した。初代が1981年に始め、約40年でショバ替えをしたわけだ。元競輪選手という二代目が、トンツクネという軟骨の食感を蓮根で再現したアイデアメニューを考案し、それも旨かった。ところが、北口に引っ越してからは、総合力は上がったかもしれないが、親子水入らずしんみり飲るという雰囲気ではなくなった。

 天上で成長した息子を見守る父は、長年暮らし、愛した街の変貌ぶりをどう感じているのか。それでも今も、坂口はこの店で父を偲んで飲んだりするのだろうか。

(取材・文=鈴木隆祐)

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