妊娠するのは〇〇〇の仕業!?古代日本人の「セックス観」と「自然観」のつながり

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妊娠するのは〇〇〇の仕業!?古代日本人の「セックス観」と「自然観」のつながり

「雷」の別名「稲妻」の意味は?

聞いたことがない若い世代もいるかも知れませんが、怖いもののたとえに「地震、雷、家事、親父」というのがあります。

なにげに七・五の組み合わせで覚えやすいこともあってか、かなり有名です。で、そんな「四大怖いもの」のうちに入る「雷」ですが、これは「稲妻」とも呼びますね。

考えてみると、なんで「雷」と「稲妻」という二つ名があるのか不思議です。雷は「神鳴り」ということでわかるのですが、「稲妻」とは?

実は「稲妻」という言葉には、日本人のセックス(性)に対する見方と、神秘的な自然の力に関する見識が秘められているのです。

昔の人にとって、「雷」と「稲」は夫婦でした。雷が夫で、稲が妻です。

しかし、どうしてこの2つが夫婦だと言えるのか。まさか両者がセックスするわけじゃあるまいし……。誰もがそう考えるでしょう。

雷は稲の「つま」

でも昔の日本人の頭の中では、両者は本当にセックスしていたのです。その結果、稲が妊娠して豊かな実りを迎えるのだと考えられていました。

ここで豆知識ですが、もともと「つま」という言葉は、女性を示す言葉ではありませんでした。「つま」とは男女関係なく「相手」「つれあい」「配偶者」の意味で、この言葉の名残は「刺身のつま」「つま戸」などに残っています。

で、稲妻ですが、これはつまり「稲を妊娠させるつま(配偶者)」、つまり男性の夫のことを指します。

余談ですが、漫画『ONE PIECE』にイナズマというキャラクターが登場しますね。これは男女の性を併せ持つという特徴を持った人物でしたが、おそらく「稲妻」の「つま」という言葉が昔は男女に関係なく使われていたことを表しているのでしょう。

雷は稲とセックスするのです。ちなみに、さらに昔の人々は雷のことを「稲交(いなつるび)」と呼んでいました。「つるぶ」もセックスを意味する言葉で、現代の「つるむ」という言葉の語源です。

もしかすると、性行為における絡みつきのイメージから、植物などの「つる」という言葉もここから生まれたかも知れません。

「雷エネルギーで稲がよく育つ」は迷信か?

さて、では雷と稲が交わることで稲が妊娠するというのが迷信なのかそうでないのか、という話になります。ちょっと聞いただけでは迷信としか思えないのですが、あながちそうとも言えない研究結果もあります。

もともと、落雷した場所でシイタケを栽培するとよく実るという話がありますし、シメジやトコナメについても同様の結果が出ています。

どうやら、キノコに雷による衝撃が与えられると、命が危険にさらされると感じるのか、菌糸が非常に活発化するらしいのです。キノコだけではなく、カイワレダイコンやグラジオラスも、人工的な稲妻によって発芽が早まることが証明されています。

現代になって科学的に「発見」された事柄を、大昔の人々がとっくに知っていたらしいことが判明すると、度肝を抜かれますね。

この「雷は実は植物の生命エネルギーの源になっている」という見方も、実はそうなのかも知れません。古代人は、雷によって稲が生長することがあると気づいていたのかも。

参考資料
中西進『日本人とは何か』講談社、1997年
進路のミカタ

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