11月10日はエレベーターの日。実はすごいぞ、日本のエレベーターの歴史

Japaaan

11月10日はエレベーターの日。実はすごいぞ、日本のエレベーターの歴史

11月10日は「エレベーターの日」とされています。

1890年11月10日に、東京の浅草で日本で初めての電動式エレベーターを備えた凌雲閣がオープンしたことに由来し、1979(昭和54)年に日本エレベーター協会によって制定されました。

絵はがきの題材にもなった凌雲閣(wikipediaより)

エレベーターの歴史は意外と古く、古代ギリシャ時代にまで遡ります。

そもそもエレベーターとは、ロープを活写にかけて荷物を引っ張り上げる、という単純な仕組みからできていますが、この仕組みを一番最初に考え付いたのは、古代ギリシャの数学者アルキメデスとされています。

その後、紀元前236年にこの仕組みを用いて高いところに荷物を運ぶ装置が作られ、これがエレベーターの始まりとされています。

現代の電動式エレベーターの多くがつるべ式と呼ばれる方法を採用しています。これは、人が乗る「かご」とバランスをとるための「釣り合いおもり」がワイヤーロープによって「つるべ式」につながっているもので、かごと「釣り合いおもり」を釣り合わせているため、モーターにかかる負荷が半減され、モーターの容量を小さくできるという利点があります。

エレベーターの駆動方式にはその他に、「巻胴式」や「油圧式」などといわれるものがあり、建物の高さやスペースによって使い分けられています。

最近のエレベーターは、静音で揺れもほとんど感じられませんが、これはコンピューター制御によるもの。かごに付けられた加速度センサーが揺れを感知すると、ローラーとレールの力関係をコンピューターで制御。常にかごの振動が抑えられるように保たれています。

日本で初めて取り付けられた凌雲閣のエレベーターは、その後関東大震災で倒壊してしまい、現在ではその姿を見ることは残念ながらできません。ただ、凌雲閣で作られたエレベーターの技術が、その後いくつもの技術革新を得ながら、日本中に広がっていきました。

パリのエッフェル塔を見てヒントを得たという越後長岡の生糸商人・福原庄七とイギリス人設計士ウイリアム.K.バルトンによって生み出された凌雲閣は、石川啄木や正岡子規が詠い、江戸川乱歩が自身の小説にも描かれたそうで、当時の日本人にとってはよほど目立つ存在だったのだと考えられます。

日本エレベーター協会では、この日、昇降機の安全・安心な利用のためのキャンペーンを実施しています。

参考

涌井 良幸・涌井 貞美『モノの雑学事典―オトナのための科学読本 単行本』(2001 山海堂) 細馬 宏通  『浅草十二階 塔の眺めと〈近代〉のまなざし』(2011 青土社)

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「11月10日はエレベーターの日。実はすごいぞ、日本のエレベーターの歴史」のページです。デイリーニュースオンラインは、日本の技術凌雲閣エレベーターカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る