コーチングが組織に根付かない3つの理由とは? (2/3ページ)
つまり、「コーチングによって醸成された個人の能力」が結集し、その結果として「組織の生産性向上」があると考えるのである。
コーチングは「ヒトを活かす」という目的にこそ可能性を感じると合力氏は指摘する。
本人が自分の置かれている環境や取り組んでいることにネガティブだと、その効果は発揮されない。ポジティブに業務に取り組むことができ、それが自分の望む未来につながっているという意識を持てることが、社員の幸福感の向上につながり、それが引いては組織の生産性向上につながっていくのだ。
合力氏は本書の中でポジティブ心理学の見地からコーチングを考察しており、幸福感が持続可能なコーチングの基盤になると指摘している。
■「コーチングとティーチングの使い分け」でメンバーの成長を促す一方の市丸氏は、自身の経験を交えつつ、実践的な視点でコーチングをどのように導入すべきかを説明している。
まず指摘していることは、「コーチングとティーチングの適切な使い分け」だ。
命令型のティーチングは、日本の企業から学校、家庭にいたるあらゆる現場において、「教育の型」として浸透している。新人に業務に教えるときや、短期的に成果を上げたいときなどは、ティーチングの方が機能しやすい。しかし、それを続けていくと、指示待ち人間が蔓延してしまったり、教える人間のコピー以下しか育たないというデメリットがある。
そこで本書では、目標達成に向けてコーチングとティーチングを使い分けながら、日常の中でリーダーとメンバーが対話をしていく「実践型コーチング」という手法の実践と、個別に1対1で対話をする「1on1コーチング」を提案している。
「1on1コーチング」は2週間に1度、30分~1時間のリーダーとメンバーによる対話の時間である。対話といっても話の主役はメンバーだ。リーダーは、メンバーに質問をしながら話をじっと聴く。自分の強みは何だと思っているのか、今の組織で何を達成したいか、それを達成するためにどうすればいいのかといったことに対して主体的に考え、行動するように働きかけていく。ここで築かれた信頼関係は、職場の一体感にもつながり、組織全体の活性化にもつながっていく。