なぜ多くの企業の人事評価制度は形骸化の道を進んでしまうのか (2/3ページ)
その目的について、宮川氏は次のようにつづっている。
人事制度の目的は「目標管理・評価制度というマネジメントツールを活用してマネジメント活動を推進し、社員の成長を後押しし、経営成果と業績向上につなげること」(同書p.65より引用)
本書でも繰り返し述べられていることがある。それは、人事評価制度は単なる昇給ための仕組みでも、それなりの組織になってきた証でもなく、マネジメントツールであるということだ。このマネジメントツールを使って、社員の成長を促し、経営成果と業績の向上につなげるということが真の目的なのである。
そのためには、評価を単なる査定の場としてだけ機能させるのではなく、育成との連動が必要だ。マネージャーは部下に対して評価を伝える場で、フィードバックだけでなく、次の期に求める成長課題を伝え、その時から育成計画をスタートさせることが求められる。
「評価は成長・育成のため」とはよく言われることであるが、実際にそのように運用できている企業・マネージャーはほとんどいない。査定のためのツールになってしまっているので、評価者も評価を受ける側も面倒で憂鬱な作業になっているのだ。その点では、人事担当者やマネージャーがこれまでのやり方を見直し、評価制度をマネジメントに活用するという意識改革も必要になるだろう。
■人は経験によって大きく成長する「70:20:10の法則」人事制度の真の目的を認識した上で、マネージャーは部下のマネジメントに取り組んでいくことになるわけだが、その具体的なやり方についても本書は網羅している。そちらはぜひページを開いてほしいのだが、その中から一つ、人材の成長に関するトピックを紹介しよう。
「70:20:10の法則」を知っているだろうか。これは、その人の成長に何が影響を与えてきたのかの割合であり、70%は「経験」(実生活や仕事における経験をこなし、問題解決をすることでもたらされる)、20%は「他者」(上司やメンターといった他者からのフィードバック)、10%は「研修」(正式なトレーニングや研修)であるという。