3000年以上封印を解かれることのなかったファラオのミイラの中身がCTスキャンで明らかに
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image credit:S. Saleem/Z. Hawass
9世紀から20世紀にかけて発見されたエジプト王家のミイラは皆、研究のために開封されている。だが、ひとりだけ例外がある。
ファラオのアメンホテップ1世のミイラは、これまでただの一度も開封されていない。その理由は呪いが怖いからではない。花輪で美しく装飾されて完璧に密閉され、色とりどりの石がはめ込まれ、生前の顔が描かれた見事なフェイスマスクを被っているからだ。
しかし、このたび初めて、エジプトの研究者がCTスキャンで3D断層撮影を行い、包帯を解くことなく、中身をデジタル的に解析することに成功した。この研究結果は『Frontiers in Medicine』誌に報告された。
・死後3千年以上たってその中身が明らかに
アメンホテプ1世(紀元前1551年 - 紀元前1524年)は、古代エジプト第18王朝の第2代ファラオである。死後3千年以上たって初めて、ミイラの中身が露わになった。
前回、彼のミイラが動かされたのは、紀元前11世紀で、最初にミイラ化され埋葬されてから、4世紀以上経ってからのことだ。
刻まれている象形文字によると、のちの第21王朝時代の神官たちが、墓泥棒の被害を受けた、古い王朝の王族ミイラのダメージを修復して、埋葬し直したことが記されている。
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ファラオのミイラの内部。包帯の内側の縮んだ頭蓋骨と骨格が見える/ image credit:S. Saleem and Z. Hawass・CTスキャンで開封することなく中身を調査
この研究を行った、カイロ大学医学部の放射線科医であるサハル・サリーム氏はこう語る。
アメンホテップ1世のミイラが、現代でも一度も開封されていなかったことが、私たちにまたとない機会を与えてくれたのです。研究チームは、ミイラマスクの上からCTスキャンで撮影。その断層写真を重ねることで開封することなく、ミイラの中身を調査することに成功した。・アメンホテプ1世の詳細が明らかに
もともとどのようにミイラにされて埋葬されたのかを研究するためだけでなく、死後、何世紀もたってから、アメンの高僧たちの手で、彼がどのように扱われ、再び埋葬されたのかを調べるためなのです
その結果、アメンホテプ1世は35歳くらいのときに亡くなったことがわかったという。身長はおよそ169センチ。割礼が施され、歯の状態も良好だった。
包帯の下には、30の護符と、金のビーズがついた黄金の帯を身に着けていた。
アメンホテップ1世は父親と似ていたようで、顎は狭く、鼻筋は小さく、髪はカールしていて、わずかに上の歯が前に出ていたという。
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ファラオの頭蓋骨。歯の状態もいい / image credit:S. Saleem and Z. Hawass
死の原因となった外傷や、病による体の変形は見られなかったそうだが、死後、切断されたと思われる損壊個所がたくさんあったという。
これらは最初の埋葬後に侵入した墓泥棒の仕業と推測される。また内臓は、最初にミイラにされたときに取り除かれていたが、脳や心臓はそのまま残されていた。
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アメンホテップ1世のミイラマスク / S. Saleem and Z. Hawassimage credit:・神として崇められたアメンホテップ1世
アメンホテップ1世のミイラが発見されたのは、1881年のこと。南エジプトのデイル・エル・バハリ遺跡で、改葬されたほかの王族のミイラの中から見つかった。
エジプト第18王朝で、侵略者ヒクソスを追放し、エジプトを統一した父王アアフメスの後を継いだ二代目ファラオとして、アメンホテップ1世は、紀元前1525年から1504年までエジプトを統治した。
この時代はいわば黄金期で、エジプトは繁栄し治安も良かった。ファラオは、数多くの宗教施設建設を命じ、リビアやスーダン北部への軍事遠征を成功させた。
死後、アメンホテップ1世と母のイアフメス・ネフェルタリは、神として崇められた。
サハル・サリーム氏と、エジプト学者のザヒ・ハワス氏は、11世紀の修復・改葬のおもな目的は、のちのファラオのために、王家の埋葬具を再利用することだったとこれまで推測していたが、今、ふたりはその自説を反証した。
少なくとも、アメンホテップ1世に関しては、第21王朝の神官たちが墓泥棒によって負わされたミイラの損傷を愛情をこめて修復し、ミイラにかつての輝きを取り戻させた上で、見事な宝石や護符もそのまま保存したことがわかります(サリーム氏)「CT画像技術が、ペルーなどほかの文明のミイラを含む、人類学的、考古学的な研究に有益に活用できることがよくわかりました」サリーム氏とハワス氏は締めくくっている。
References:Mummy of Pharaoh Amenhotep I “Unwrapped” for the First Time in 3,000 Years – Here’s What Scientists Found / written by konohazuku / edited by parumo
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