謎の音波障害「ハバナ症候群 」は外国勢力の攻撃の可能性低い。CIAの中間報告

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謎の音波障害「ハバナ症候群 」は外国勢力の攻撃の可能性低い。CIAの中間報告
謎の音波障害「ハバナ症候群 」は外国勢力の攻撃の可能性低い。CIAの中間報告

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 2016年、在キューバアメリカ大使館とカナダ大使館の職員らが一様に原因不明の体調被害を訴えた。その後、世界各地の外交官や諜報部員らが同様の被害を訴えた。

 この不可解な現象は「ハバナ症候群 」と呼ばれ、音響兵器による意図的な攻撃も視野に入れながらCIAによる捜査が進められていた。

 そして最近、CIAから中間報告が発表された。それによると、一連の事例に敵対する外国勢力が関与している可能性は低いという。

・原因不明、謎の「ハバナ症候群」
 原因不明の頭痛や吐き気といった症状を特徴とするハバナ症候群は、ここ数年主にアメリカなどの西側外交官や諜報部員、軍人などから報告されてきた。

 一部の患者は発症前に耳をつんざくような高音ノイズが聞こえたと証言しており、アメリカに敵対する外国勢力がマイクロ波のようなエネルギー音響兵器で攻撃しているのではないかとの疑いがあがった。

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・敵対外国勢力の攻撃の可能性は低いとするCIA中間報告
 しかし、この件を調査していたCIAは今回、その可能性は低いと暫定的に中間報告で公表した。
広範な捜査を行ったが、事件に国家が関与しているという証拠は見つかっていない。これまでに収集・検証された全情報を考慮すると、ロシアなどの外国勢力が兵器や機械で米国関係者に危害を加える世界的作戦を行なっているとは考えにくい
 こう述べる米当局者は、ほとんどの事例は未診断の病状や環境要因などによって「合理的に説明可能」であると述べている。例えば集団パニックなどの影響などだ。

 ただし、一連の事件の発端となった2016年のハバナ米大使館職員の事例など、20数件の事例については引き続き調査が行われている。外国勢力が関与した可能性を否定できないからだ。

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・きちんとした調査がなされていない。各方面から非難の声
 こうした説明に対して納得がいかない関係者も多いようだ。

 ある人物は、NBCに対して「CIAが勝手に空振りしただけだ」と述べ、国防総省などの他機関と連携した捜査が行われていないことへの不満を口にする。

 またハバナ症候群の被害者を代表するある団体は、声明の中で「CIAの新しい報告書は、”暫定的”と銘打たれており、別の説明がなされる余地は残されている」とし、「中間報告書がCIA全体の総意を表すものですらないと信じる理由がある」と述べた。

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 同じような不満は、民主党議員からも表明されている。

 下院情報委員会のアダム・シフ委員長は、今回の報告書について「最初の一歩」としながらも、「解決には程遠い」と発言。

 また上院情報委員会のマーク・ワーナー委員長も、「今回の評価は、厳密に行われたものであるが、あくまでCIAの作業を暫定的に反映したものに過ぎない」との声明を発表。緊急かつ難解な問題を解明するために、「超党派で答えを追い続ける」と述べた。

 ハバナ症候群とされる症状は、アメリカ国内だけでなく、オーストリア、中国、インド、ロシア、コロンビアに駐在する米政府関係者からも報告されている。

 それは政権の運営にも影響を及ぼしており、昨年には職員2名が謎の体調不良を訴えたことで、カラマ・ハリス副大統領のベトナム訪問が遅れることになった。

References:CIA says 'Havana Syndrome' not result of sustained global campaign by hostile power / written by hiroching / edited by parumo


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