関ジャニ∞安田章大“逆境はねのける大胆発想”でみせた「大阪王将」の餃子レシピとは!?
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第103回「大阪王将」
アイドルだって飯を食う。そして、アイドルも年輪を重ねるごとに“いい味”を醸し出すものだ。本連載で男性アイドルを主に取り扱うように路線を変え、しみじみそう思う。
やはり「男の顔は履歴書」である。ジャニーズのイケメン勢も30~40代になると、いい感じで熟してくる。最近とみにそう思えるのが関ジャニ∞の面々だ。とりわけ安田章大などグッと渋みが出てきた。
2015年からフジテレビ系で放送されている『関ジャニ∞クロニクルF』も現在のコンセプトは、「30代後半に差し掛かった関ジャニ∞が、あらゆるモノやコトを追求し、楽しみ、“イカしたオトナ”を目指す本気バラエティ」。
その名物コーナーが、メンバー自身が思う最高の食材とレシピを組み合わせて作る「カスタムグルメ」シリーズだ。昨年11月にも『錦戸亮「松屋」通いの裏に見える「関ジャニ∞の絆」』と題して、同番組でメンバーが松屋の牛丼をいかにカスタマイズしたかを紹介した。
■「大阪王将の餃子をカスタム」で
そうしたタイアップはあまり行われないコーナーだが、昨年9月27日には「大阪王将の餃子をカスタム」企画が放送された。定番の「元祖焼餃子」を必ず使い、他のメニューも組み合わせ、各自が「最強のカスタム」に挑戦したわけだが、安田考案のレシピが好評で、採点者の同社社長も絶賛。商品企画部ゼネラルマネージャーには「うちにぜひ欲しい社員ですね」とまで言わしめた。
その回の「カスタムグルメ」はいつもと趣が変わり、審査員を務めることが多い大倉忠義が挑戦者として参加し、村上信五がMCを務めた。そして、大阪王将から代表取締役社長と、ゼネラルマネージャーが試食の上で採点したため、挑戦者も自ずとヒートアップし、いつも以上の高レベルの争いとなった。
ゲストは当時第二子を妊娠中で、大阪王将の冷凍餃子が忙しい毎日の家事で役立つと語る横澤夏子。まず彼女が『餃子の披露宴』と題し、パプリカやニンジンや梨などカラフルな食材をドレスに見立て、ライスペーパーに包んで「餃子を着飾らせた」。
いわば餃子入り生春巻きで、チリソースやタルタルなどをつけて食べる。 横澤も自ら試食し、「おいひい(美味しい)!」と大興奮。関ジャニメンバーも同様に褒めちぎるが、 大阪王将の2人には「餃子の存在感が薄れてしまった」と不評で、横澤は「(ドレスが)着膨れしすぎた…」と嘆く顛末となり、結果は4位。
■食通として有名な丸山は…
大倉は『大阪王将×クリームシチュー』と銘打って、五目炒飯をグラタン皿に敷き詰め、中央に餃子6個を大胆に乗せた上にホワイトソースを作ってかけ、チーズをたっぷり振りかけ、オーブンでこんがり色づくまで焼いた。おまけにネギと糸唐辛子をトッピングして完成。
いかにもコッテリで男子好きする、一同からも「うわー!酔っ払ったら絶対食うな」と声が上がるほどのやんちゃメニューだ。グループきってのグルメの丸山隆平は「コンビニとコラボして出してほしい」と絶賛するも、大阪王将勢からは、「炒飯なしのほうが良かった。何を食べているのか分からなくなる」と、やはり餃子の個性が埋没したのが不評だった。結果3位。
そして、先にネタバレをすると、この丸山が1位を取るのだ。そこは食通として一日以上の長がある。丸山考案のメニューは『バンバン餃子!うまさへのバンジージャンプ』。丸山はバンバンジー風に餃子をアレンジしたのだが、「バンバン」は京都弁で「めちゃくちゃ」を意味することにかけている。レタスの上にキュウリと餃子を乗せ、バンバンジーの鶏肉をミキサーにかけてから添える。レタスで巻いてキムチと一緒に食べるという趣向だ。概ねメンバーウケがよかったが、大阪王将勢からも「手軽さ、餃子の活かし方が素晴らしい。シンプルで深い」とお褒めの言葉をもらった。
■横山裕の『餃子そうめんチャンプルー』
となると、ビリの5位は当然、横山裕の『餃子そうめんチャンプルー』。夏が終わった時期だったので、家に余っているそうめんの始末になるのでは、というアイデアは主婦層には支持されそう。
3等分に切った餃子をフライパンで炒め、ごま油を和えたそうめんを加えるだけ。最後に付属の餃子タレで味を整える。しかし、横山は餃子を切って原型を崩してしまった。それを「御法度」なのではと心配顔だ。案の定、大倉からは「質素かな。野菜がほしいな」との意見が出、大阪王将勢も「見た目がイマイチ。餃子のタレは酢が強いので、酸味が立ちすぎている」と厳しくジャッジした。
確かに余り餃子を崩して使うなら、いっそ全部バラシ、皮も麺に近づけ均等に切るなど工夫が必要だったろう。番組サイトにはこれまでの全メニューのレシピも載っているが、このチャンプルーは相当ジャンクなルックスをしている。その点では、ミキサーにかけられたバンバンジーの鶏胸肉も美味しそうには見えない。
■安田は『パニック!!』
そこへ行くと、見た目はチャンプルー同様に茶褐色だが、安田の作品『パニック!!』はスイーツ風に仕上がっており、まったくもって斬新だ。安田はこのコーナーで片手で食べられる“ワンハンドグルメ”にこだわってきたといい、完成品を一見すると、具沢山のシュークリームに見える。
実際、シュー生地を横半分にカットし、カスタードクリーム、ハルーミチーズ(塩漬けしたキプロス産のチーズ)、餃子、シナモンパウダー、生クリーム、チョコソースを中に挿んでいる。
安田曰く、「(シナモンが入りの)チャイティーと餃子を一緒に食べることがよくあって。そのイメージ」で作ったという。これが辛党の大倉をして「すげぇ!美味しい」と笑顔にさせるほどの出来栄えで、大阪王将のゼネラルマネージャーをも「餃子特有の匂いをシナモンで調和している。世に出したい」と唸らせた。
マネージャーは安田の企画力をともかく絶賛。そこから「社員にしたい」発言も飛び出したのだ。社長もまた、「まさしくパニックです」と度肝を抜かれたようだ。
■稀代のイノベーター
そして、1位の丸山とは2点の僅差の78点で2位となった。だが、中華屋でバンバンジーと餃子をオーダーし、食べ合わせることはままある。口内で結果的には丸山のメニューと同じ味を誰もが経験しているのだ。つまり、あらかじめ予想できる味を一品に仕立て上げた。
という点で、いささか予定調和的ではある。一方の安田のメニューは「餃子をチャイを飲みながら食べる」という、彼独自の激渋な食スタイルから発案されている。実にチャレンジングなメニューだが、どちらがイノベーターかはすぐわかるだろう。
僕は彼が主演した13年公開の映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』を、一昨年になって遅ればせながら名画座で観て、まだ一度も脚本を書いたことがないのにシナリオ学校に通う、やけに自信家だが憎めない、彼の演じたキャラクターに大いに共感した。大胆な発想をする点では、今回の彼と近いかもしれない。大阪王将や本家王将の味には、関西出身の面々は我々以上に慣れ親しんでいる。だからこそ、餃子をスイーツに転じさせるぐらいの発想力が求められるのだ。
■苦労を肥やしに
しかし、実像の安田はビッグマウス・キャラとはかけ離れ、いわば有言実行タイプ。これまでにも興味を持ったら何にでも挑戦し、手話検定やダイビングライセンス、小型船舶操縦士1級などを習得してきた。
17年には脳腫瘍の一種「髄膜腫」を患い、大手術を受けて助かるも後遺症で大怪我も負い、光に弱くなってサングラスを手離せない。他のメンバーにない渋みを感じるのも、そんな背景があってのこと。やはり苦労をしっかり肥やしにしているのだ。
そんな安田はコロナ禍で新たな趣味を持ったという。やはり『関ジャニ∞クロニクルF』の昨年1月18日の放送回では、人気占い師・Love Me Doによるメンバーの運気判断の場面があったが、そこで安田が新たに「始めたほうがよいこと」として「登山」が挙げられた。
すると、「飛騨高山の方々とキノコ狩りしてんの」と安田。同番組の“ジビエ企画”のロケで知り合った岐阜県の猟師一家とその後も交流を続けているのだ。となれば、ぜひそのキノコを具材にしての餃子を番組でも作ってもらいたいものだ。いや実際、キノコ餃子はヘルシーだし旨いし、大阪王将さんにもお薦めですよw。
(取材・文=鈴木隆祐)