月の裏側で、謎めいた半透明のガラス玉を発見
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image credit:Xiao et al., Science Bulletin, 2022
中国の月面探査車「玉兎2号」が、月の裏側で不思議な発見をした。乾いた灰色の砂塵のなかでキラリと光る半透明のガラス玉だ。
このガラス玉には月の歴史が刻まれており、マントルの組成や隕石の衝突などを知る手がかりになるという。
今回その組成に関するデータは得られていないが、将来的には重要な研究対象になると考えられるそうだ。
・火山や隕石落下で形成される月面のガラス
月において、ガラスはそう珍しいものではない。それはケイ酸塩でできた物質が高温にさらされると形成されるもので、月ではお馴染みのものだ。
かつて月では大規模な火山活動があり、火山性のガラスが形成された。また隕石の落下による熱で作られることもある。
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image credit:(Xiao et al., Science Bulletin, 2022
・直径20ミリ前後のガラス玉
確かに月にガラス玉はたくさんあるが、そのほとんどは1ミリもない小さな粒子だ。これを「球状粒子」や「スフェルール」という。
実は地球でも似たようなガラス玉が作られることはある。
隕石が落下すると、それによって発生した膨大な熱が地殻を溶かし、大気中に飛散させる。すると溶けた物質が再び固まり、ガラスの粒子となって地上に降り注ぐのだ。
だが、玉兎2号が発見したガラス玉はずっと大きく、直径15~25ミリもある。
似たようなものは、アポロ16号のミッションでも見つかっている。それは40ミリものガラス玉で、クレーター付近で発見されたことから、隕石の衝突によって作られたと考えられている。
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image credit:(Xiao et al., Science Bulletin, 2022
・火山と隕石の両方が関係?
今回の発見されたガラス球状粒子最大の特徴は、半透明で、ガラス質の光沢がある点だ。
似たような光沢を持つガラス球はほかにも4つ発見されているが、半透明であるかどうかは確認されていない。
これらのガラス玉は新しいクレーターの近くで発見された。このことは、隕石の衝突によって形成されただろうことを示唆している。
だが、ほかにも可能性がある。以前からあったものが地中に潜り込み、隕石の衝突で地表に露出したとも考えられるのだ。
中国、中山大学と中国科学院の研究グループによると、今回玉兎2号がカメラで撮影したものは、火山と隕石の両方が関係しているという。
いくつかの要素を考慮すると、「斜長岩(アノーソサイト)」という火山性ガラスが隕石衝突の熱で溶けて、再び固まった可能性がもっとも高いのだそうだ。
これについては論文は、「独特の形態、形状、現地の状況を総合すると、ガラス小球は斜長岩系衝撃ガラスと一致する」と説明する。
つまり今回のガラス玉は、地球で言う「テクタイト」なのかもしれない。テクタイトとは、すでに説明したように、隕石衝突によって溶けて大気に飛び散った物質が、ガラスの粒子になったものだ。今回のガラス玉は、それを大きくしたようなものだ。
その組成を調べてみなければ確かなことは言えないが、もしそれが本当に月のテクタイトならば、月面ではかなり一般的なものかもしれない。ならば、素晴らしい将来の研究対象でもあるという。
「月面で初めて発見された小さな半透明ガラス球で、月の高地にはそれと同じものが豊富に存在するだろうと予測される。月の初期に起きた隕石の衝突について解明するうえで、有力な採取目標である」と、論文では説明されている。
この研究は『Science Bulletin』(2022年2月26日付)に掲載された。
References:Translucent glass globules on the Moon | EurekAlert! / written by hiroching / edited by parumo
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