木をかじっているだけの可愛いあの動物が、なぜ地球を救うのか? (2/3ページ)

新刊JP

ビーバーの肛門腺の匂いはオスとメスで異なり、モーターオイルの匂いがしたらオス、古いチーズの匂いがしたらメスであるという。想像をするに、自らすすんで嗅ごうとは思えない匂いだが、私たち人間の鈍感な嗅覚でさえも「五回も匂いを嗅げば、大体雌雄鑑別ができる」(生物学者ケイティ・ウェバー氏)という。

■入植者たちの乱獲でアメリカから姿を消していったビーバー

続いては、ビーバーと人間の関係だ。
北米大陸における歴史を辿ると、ビーバーに対して苛烈な態度をとり続けてきた白人入植者たちの姿が浮かび上がる。

北米の先住民たちは、ビーバーの肉や脂肪分の多い尾を食べ、毛皮をまとい、薬としてカストリウムを使ってきた。また、ある先住民はビーバーの肩甲骨を使って占いをしていた。しかし、それは「必要最低限の採取」であり、乱獲されることはなかった。

その関係を一変させたのが、ヨーロッパ人による入植である。当時、ヨーロッパは自国のビーバーを絶滅させかけていた。目的は毛皮だ。そして、北米のビーバーたちもその標的にされてしまう。本書では「根こそぎの採取」と表現されているが、毛皮のために多くのビーバーが殺戮にあい、白人と先住民による毛皮交易は西へ西へと進んでいった。

入植者たちがあらわれる前までは、北米のほとんどの川や湖にビーバーがあふれていたという。しかし、この変化によってアメリカ中からビーバーは姿を消していった。その影響は現代にも及び、カリフォルニア州では近年に至るまで「外来種」と扱われ、敵意を向けられていたほどだ。

そんな状況にまで追いやられていたビーバーだが、今、環境問題の救世主となりえる可能性が論じられているという。

■ビーバーが敵意を向けられていたカリフォルニア州で英雄となる

現在、シエラネバダ山脈の高地に位置するカリフォルニア州のチャイルズ・メドーでは、ビーバーを使って気候変動と闘うという試みが行われている。

この高原草地は、カリフォルニア州で最も重要な生態系の一つで、州の水の60%を供給し、生物多様性の半分以上を占めている。

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