木をかじっているだけの可愛いあの動物が、なぜ地球を救うのか? (3/3ページ)
一方で、その生態系は危機的状況に晒されているが、ビーバーはさっそくその下流でコロニーを形成、絶滅危惧種の鳥やカエルを引き寄せているという。
さらに、チャールズ・メドーのビーバーダム・アナログをつくるために、カリフォルニア州が投資する温室効果ガス削減基金から3万ドルの費用と、その影響を調査するための50万ドルの費用が負担された。
かつて「外来種」とみなされたビーバー。そんな彼らによる環境回復活動に資金が提供されているということは、人間とビーバーの関係が再び変わりつつことを示唆している。もしかしたらビーバーはカリフォルニア州の英雄になるかもしれないのだ。
■ビーバーは地球温暖化を防ぐその理由とはでは、なぜビーバーが温室効果ガス対策に一役買うかもしれないのか。
近年、地球温暖化の要因の一つとして「ウシ」が挙げられている。彼らのげっぷによって排出されるメタンガスに、二酸化炭素の約25倍の温室効果があるからだ。
メタンは炭素と水素が結びついた化合物だが、ビーバーはその元となる炭素を大気中に放出しないようにする緩和策としての役割を果たすという。森林が大気中の炭素を吸って木の中に閉じ込めるように、ビーバーの池も大気中の炭素を埋没堆積物の中に封じ込めてしまう。
地形学者のエレン・ウォールが2013年に発表した研究によれば、ロッキー山脈国立公園で活動中のビーバー複合体は、かつて260万メガグラムを越える炭素を蓄えていたという。これは、著者の計算によればアメリカの平均的な森林150万平方キロメートルに相当する量にのぼる。
このことから、著者は「気候変動と闘いたいのであれば、ビーバーを配置したほうがもっと良い状態になることは大いにあり得る」と述べている。
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本書は生態をはじめ、文化史、人間との共生、環境問題とのつながり、保護活動など、多岐に渡る視点からビーバーという動物を紐解いていく。
日本だとあまり馴染みのないビーバーだが、アメリカやヨーロッパにおいては、人間とのつながりの強さを感じることができるだろう。その奥深さをぜひ本書を通して知ってほしい。
(新刊JP編集部)