「死」をきっかけに沸き上がる“誰かに触れたい”という感情 (2/2ページ)

マイナビウーマン

その後、由希子と交際を始めた山崎ですが、2人が働くアルバイト先の店長の死をきっかけに別れることになってしまいます。

その理由は、由希子の親友である伊都子と山崎が関係を持ってしまったからでした。

山崎が由希子に、そして伊都子が山崎に「触れたい」と感じた、共通の理由は「死」です。

大学に馴染めず、話す相手が1人もいない時、川底で唯一思い出したのが由希子という存在でした。

死から逃れたくて、唯一助けを求められる人を見つけた時、山崎は強く由希子を求めます。

対して伊都子は、店長が目の前からいなくなったことに耐えられなくなり、山崎のアパートに現れました。

この時の2人は、突然の「死」に直面し、強く「生」を求めたのではないでしょうか。

山崎自身の「死」への恐怖、そして由希子と2人で目の当たりにした店長の「死」。

彼らの出会いと別れには「死」が共通しています。 

■「死」が導く、生きるための指針

その後、山崎と由希子は別々の人生を歩み、由希子は家庭を持ち二児を授かり、山崎は二匹の犬と若い恋人と暮らしています。

19年離れていても、彼らの人生の基軸には恋人同士だった時があり、今があります。

結婚したけれど決して手放しで幸せとは言えない由希子には、山崎が編集長として働く出版社の同僚が関係していたりと、2人の人生は絡まり続けていました。

表題になっている『パイロットフィッシュ』という言葉は、魚を飼う環境を作るため、最初に飼う魚のことを言います。 

本作では、山崎と由希子が「生きるため」に指針を与えてくれた2人の人物が登場します。 

彼らに生かされ、そして死と対峙して強く相手を求めた19年間の物語を、ぜひ自身と重ねあわせてみてください。

(文・イラスト:いしいのりえ)

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