「鎌倉殿の13人」いよいよ木曾義仲が登場!源頼朝と衝突した原因は?第13回「幼なじみの絆」予習

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「鎌倉殿の13人」いよいよ木曾義仲が登場!源頼朝と衝突した原因は?第13回「幼なじみの絆」予習

前回は「亀の前事件」で壮絶な夫婦喧嘩を演じた……というより源頼朝(演:大泉洋)の浮気を完膚なきまでに問い詰めた北条政子(演:小池栄子)。

頼朝の逆ギレに嫌気が差したのか、北条時政(演:坂東彌十郎)は伊豆に帰ってしまい、江間義時(演:小栗旬)は後始末に追われることに。

鎌倉でそんなドタバタ劇を展開している間に、天下の情勢は少しずつ動いていたようで、信越北陸方面で木曽義仲(演:青木崇高)が勢力を伸ばし始めていました。

歌川芳虎「大日本六十余将 信濃 旭将軍源義仲」

古来「両雄並び立たず」とはよく言ったもの、鎌倉の頼朝と木曾の義仲はやがて雌雄を決することになるのですが……。

今回は頼朝と義仲がなぜ争うことになったのか、そしてどのような結果となったのかを紹介。次週放送の第13回「幼なじみの絆」を視聴する上で予習になればと思います。

源氏同士で争ってどうする…義仲の決断

頼朝と義仲の衝突が発生したのは寿永2年(1183年)3月。この年は『吾妻鏡』の記録が抜け落ちているため『平家物語』などを元に見ていきます。

頼朝は、2月に義仲の元へ逃げ込んだ源行家(演:杉本哲太)と志田義広(しだ よしひろ。頼朝の叔父)の身柄引き渡しを要求。

義広は源氏でありながら平家に与して頼朝に叛旗をひるがえし、小山朝政(演:中村敦)や八田知家(演:市原隼人)らに撃破されています。

いずれも頼朝にとって困った叔父たちであるものの、義仲は引き渡しを拒否。

事情はどうあれ、一度匿った者をたやすく(あるいは威に屈して)引き渡しては武士の名折れ。ここは譲れません。

義仲との対決姿勢を示す頼朝。豊国筆

……対する頼朝も「ハイそうですか」とはいきません(これまた武士の沽券にかかわります)。

かくして義仲を脅すべく十数万騎ともいわれる大軍を率いて信濃国(現:長野県)へ出兵したのでした。

義仲はこれを迎え撃つため、信濃国と越後国(現:新潟県)の境にある熊坂山に布陣。

対する頼朝が善光寺に拠点を構えたところ、義仲陣営から使者が訪れます。彼の名は今井四郎兼平(演:町田悠宇)。義仲の乳兄弟(乳母の子。義兄弟)です。

「佐殿よ、何ゆえかような兵を起こされたか。御辺(ごへん。あなた)は坂東八ヶ国を従えた今、東海道から攻め上がって平家を滅ぼすべきではないのか。
我が主も東山道・北陸道から攻め上がろうと急いでおるのに、何ゆえ源氏同士で争って平家の者どもに笑われようとなさるのか。
もし十郎蔵人(行家)らを保護しているのが気に入らないなら、連れて帰るがよかろう。いずれにせよ、我が主は鎌倉に対して敵対する意志のないことを、ご理解いただきたい」

これに対して頼朝の返事は

「口先では何とでも言えるが、鎌倉に謀叛の企てありと情報が入っておる。既に土肥実平(演:阿南健治)と梶原景時(演:中村獅童)を先鋒として差し向けたから、覚悟するがいい」

と、聞く耳持ちません。実は甲斐源氏の武田信光(たけだ のぶみつ。武田信義の子、石和五郎)が自分の娘を義仲の嫡男である木曽義高(演:市川染五郎)に嫁がせようと打診したところ、これを拒否された逆恨みで

「木曽は平家と内通し、鎌倉に謀叛を企んでおります」

などと密告していたのでした。ここで源氏同士の内輪もめをしていては平家打倒を果たせない……義仲は仕方なく、義高を鎌倉へ人質に出すことで異心なき証としたのでした。

清水冠者義高。歌川貞秀『英雄百首』より

「ここまでしてくれたなら、異心なきこと疑いあるまい。ちょうど我が家には成人の子がいないから、娘(大姫)の婿に迎えよう」

かくして源氏同士の全面衝突は避けられ、義高は頼朝と共に鎌倉へ帰っていったということです。

和議は成立したものの……

寿永二年三月上旬に、兵衛佐と木曽冠者義仲不快の事ありけり。兵衛佐木曽追討の為に、その勢十万余騎で信濃国へ発向す。木曽は依田の城にありけるが、右を聞いて信濃と越後の境、熊坂山に陣を取る。兵衛佐は、同じき国、善光寺に着き給ふ。木曽、乳母子の今井四郎兼平を使者で、兵衛佐のもとへ遣はす。
「いかなる子細のあれば、義仲討たむとは宣ふなるぞ。御辺は、東八ケ国を討ち従へて、東海道より攻め上り、平家を追い落さむとし給ふなり。義仲も東山、北陸糧道を従へて、今一日も先に平家を攻め落さむとする事でこそあれ。何の故に、御辺と義仲と中を違うて、平家に笑はれんとは思ふべき。ただし、十郎蔵人殿こそ、御辺を恨むる事ありとて、義仲がもとへおはしたるを、義仲さへすげなうもてなし申さむ事いかんぞや候へば、うち連れ申したれ。全く義仲においては、御辺に意趣思ひ奉らず」
と言ひ遣はす。兵衛佐の返事には、
「今こそさやうには宣へども、たしかに頼朝討つべき由、謀叛の企てありと申す者あり。それにはよるべからず」
とて、土肥、梶原を先として、既に討手をさし向けらるる由聞こえしかば、木曽、真実意趣なき由を表さむがために、嫡子清水冠者義重とて、生年十一歳になる小冠者に、海野、望月、諏訪、藤沢などいう聞こゆる兵共を付けて、兵衛佐の許へ遣はす。兵衛佐、
「この上は、まことに意趣なかりけり。頼朝、いまだ成人の子を持たず。よしよし、さらば子にし申さむ」
とて、清水冠者を相具して、鎌倉へこそ帰られけれ。

※『平家物語』巻第七「清水冠者」より

かくして頼朝との和睦が成立し、後顧の憂いがなくなった義仲は平家打倒の上洛を急ぎ、かの叔父・行家らもそれにくっついていきました。

「……いいんですか?十郎(行家)殿は連れ戻さなくて」

「ふん、あやつはしょせん『獅子身中の虫(寄生虫)』よ。上洛を焦る木曽の生き血を散々にすすらせるがよかろう」

最期まで義仲に忠義を尽くし、武勇を奮う兼平。大河ドラマでも大活躍が期待される。歌川国芳「今井四郎兼平」

果たしてその予測通り、義仲らの勢力は内部から崩壊。後から乗り込んだ頼朝が漁夫の利を得るのですが、そのくだりは又の機会に。

第1回「大いなる小競り合い」の終盤でちょっとだけ姿を見せた木曽義仲がいよいよ本格始動。巴御前(演:秋元才加)や今井兼平はじめ、信濃武士団の活躍が楽しみですね!

※参考文献:

『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 前編』NHK出版、2022年1月 『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全読本』産経新聞出版、2022年1月

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