弔いや供養と深い関係を持つお花 お花が手向けられる理由とは

心に残る家族葬

弔いや供養と深い関係を持つお花 お花が手向けられる理由とは

葬儀、墓参り、仏壇などさまざまな場面で花が手向けられる。特に、葬儀で使用される花祭壇にはたくさんの花が用いられている。かつて菊が主流であったが、昨今は意味にとらわれず様々な花材が使われ、故人らしい色合いや好きだったお花で彩られている。これらの花は、どのような意味があるのか、歴史や宗教、花の持つ効果から、なぜお花が手向けられるのかを考えてみる。

■遥か昔から死者に花を手向けていた

1960年代、アメリカの考古学者R.ソレッキ博士がシャニダール遺跡の発掘で、ネアンデルタール人が花をそえて幼児を埋葬していたと発表した。ネアンデルタール人の墓の周囲に洞窟内で咲くはずのない花の花粉が見つかっており、この花粉は白、青、ピンクの色鮮やかな花であったと同定された。他にも、墓地を花で飾っていたとされる証拠は世界各地で見つかっている。彼らは死者を弔う際、どのような意図として花を手向けたのか、その後様々な研究が行われ、今はその花が薬草であったことも発表されている。仲間の死を悲しみ、死者に花を供えていたとしたら、私達のご先祖様はとても美しい心の持ち主である。

■仏教的な観点で考える花を手向ける意味

仏教で良く知られる植物の一つに沙羅の木がある。椿にも似た美しい白い花を咲かせるのだが、とある神話が残っている。仏教では、二本の沙羅の木の下でお釈迦さまが入滅されたことから、「沙羅双樹」ともよばれ、復活、再生、若返りなどの象徴とされている。沙羅双樹といえば、「祗園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必滅の 理をあらはす」という平家物語の一節を思い出す人も多いだろう。また、お釈迦さまが亡くなった時には、鶴のように白く枯れ、悲しみをもたらしたと言われ、仏教徒にとって聖樹とされている。そして、阿弥陀仏がいらっしゃるとされる極楽浄土はお花畑のような所であると言われている。このような話から、故人を弔うにあたり、再生を繰り返す花や植物を飾ることにより、極楽浄土に行き、あの世での幸せを願うという意味があると考えられる。しかし、仏教に限らず死者を弔う際には、祈りを込めて花を捧げており、また、葬儀に関わらず人生の様々な場面で花を飾っている。となると、花にはもっと広い意味があると考える。

■花の持つ効果

花には人の心を落ち着かせたり明るくさせたりする効果があり、香り、触り心地など、花の視覚的な美しさや優しい香り、葉の揺れる音や花びらの柔らかさなどを感じることにより、人間の五感が刺激される。また、花にはカラーセラピー効果があり、暮らしに取り入れることで自分の心と向き合いやすくなるとも言われている。

このように「心を満たす」花は、大切な方を失う場面で、悲しみを和らげてくれるだろう。そして、お花畑のような美しく安らかな空間で見送りたいという、人本来が持つ優しい心の現れだと考える。もちろん好きな食べ物や思い出の品を飾る事も、弔う時には行うが、目に見えない気持ちを表現できるのは、花以外に見当たらないのではないだろうか。

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